今回は、具体的にビジネスマンに勧められる『靴』・『背広』・『ワイシャツ』・『ネクタイ』を紹介します。
偉そうに、勧めると言っても、こういう物の専門家でもありません。ですから、経験上、亀の甲より年の劫くらいに、読んでもらい、参考にしてもらえれば良いと思います。
まず、『靴』です。昔から足元を見られると言いますが、これは、履物を見る分けではありません。相手の弱みにつけこむ意味で使われますが、この諺としての意味は『昔は、「かごかき」というのがいて、旅行が徒歩で道中をして、疲れているその足もとを見て、かご賃を沢山要求することがあった。つまり相手の弱みにつけこむこと。』(出典:1978-1979 ことわざ・名言事典 株式会社創元社.)と、実際に足元を見て判断した事に由来があります。
今でも、意味は、弱みに付け込むという意味ですが、相手の履物によって、その人のレベルを知る事も実際にはあります。また、評価されることも知っておくと良いでしょう。
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まず、靴は常に磨いてピカピカにしておくべきです。そして、履き古したもの、踵が減ってしまって、傾いている物はよしましょう。踵なんかは自分でも取り換える事はできます。
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靴の種類は、その人の職業に合わせた方が良いと思います。
一般的には、スコッチグレイン・リーガルなど国産の物が、日本人の足に合うと思います。種類は、出来るだけシンプルな方がお勧めです。これらの靴は、まず長持ちします。ソールは革底もありますが、ちょっと値がはります。
しかし、この種の靴で高価なものは、ソールの修理もできますし、扱いさえよければ、履きこなせば味も出てきます。
経済的に余裕があれば、靴は、最低3足は持っていて、毎日履き替えましょう。逆に長持ちして、経済的にもなります。買う時にはちょっと頑張らないといけませんが。
ここで、紹介しているものは、底が革ではありませんが、雨の日にも履けますので、ビジネスには良いと思います。
もちろん、甲の部分は革なので、手入れはしっかりとする必要があります。
特に会う人が、会社のトップクラスの人と会う時は、最低でもこれくらいの靴は持っておくべきでしょう。
背広も経済的に許せば、春秋用・夏用・冬用と最低でも2着づつは、揃えたいものです。
これも、毎日着替えて、出来れば、陰干しをしておく方が長持ちします。背広の場合は、ズボンの線がないような物は、あまり良い評価が得られません。毎日プレスをするように心がけましょう。
ただ、これも経済的に許されればの話になりますが、一着くらいは、テーラーで仕立ててもらう事も、勉強になります。
私には手が届きませんでしたが、父はテーラーで一着40万円程する背広を何着も作っていました。
ワイシャツも出来れば、仕立てたものを着る方が良いですが、少なくとも襟や前立て、袖口はしっかりアイロンのかかったものを着用し、毎日着替えるようにした方が、好感度が増します。
ネクタイは、ビジネスマンに適した物がありますので、購入する時に聞いた方が良いでしょう。一般的には、無地、レジメンタル、ドット等を背広の色に合わせて揃えておいた方が良さそうです。好みがあると思いますが、できるだけ、控えめな方が好感が持てます。ですから、ドット(点の柄)の場合などは、小さい点が好ましいと思います。
注意点があります。靴にしても背広にしても、その他身に付ける物は、決して華美にならないようにします。そして、自分の給料や地位にあったものを選びましょう。ここでも『過ぎたるは猶及ばざるが如し』を頭の隅において選んだ方が良いと思います。
なぜ、履く物や着るものに、気づかいが必要かを考えて見ましょう。
人間は、初対面で何を見るかを考えると、答えがでると思います。初対面では、見た目でしか、その人を判断する材料はありません。ですから、身に付けている物、や、立ち振る舞い、話し方が重要な判断材料になるのです。
知り合いになってしまえば、重要な要素でなくても、人間関係の第一歩は、出会いにチャンスがあります。そのチャンスを掴むための『礼節』と思えば良いと思っています。
前回紹介した、澤部滋先生(日本空手道修武会会長・当時大和警備保障株式会社社長)に野村総研に連れて行ってもらいました。その道すがら、先生が、仰ったのは「どこかに一緒に連れて行こうと思っても、ちゃんとしたなりをしてないと、連れていかれへんわな」と言われたことが、印象的で、今でも覚えています。お会いする相手にも、一緒に行く人にも『礼』に欠ける事がないようにしたいものです。
服装や持ち物は、高い物を身に付けていても、安い物を身に付けていても、その人の趣味がそこに現れます。趣味と言う事は、その人の人柄が現れるという事です。場合によっては、考え方まで現れてしまいます。
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なぜ、華美な物を避け、控えめな物を選ぶかと言いますと、こんなところで、相手と競い合っても仕方がないのです。ビジネスの世界では、競争相手であっても、仲間であっても、身に付ける物で勝負している分けでは、ありません。仕事の良し悪しで評価されます。
では、なんでも良いかと言いますと、そうではありません。初めにチャンスを逃してしまいます。『礼儀』知らずと思われては、勝負になりません。
ですから、身に付ける物は、あくまでも『礼儀』の範疇にする必要がある事を、心がけるべきだと思っています。
後先になりましたが、ネクタイの締め方、ハンカチや靴下も『礼儀』に欠く事の無いように、一般的な知識はここで紹介した本などで、基本を調べて置くと、何かと役に立ちます。
私は、お習字もしますし、絵も描いていた事があります。しかし、空手道でも「美しさ」や「芸術」は、未だに分かりません。
同じようにファッションに関しても、単なる好き嫌いで判断する事になります。
ただ、『良い物』を選ぶとき、自分の好き嫌いだけで選ぶと言うのは、余りにも傲慢ではないかと思うのです。
そこで、物を選ぶときには、ブランド品に頼るのです。えっ、と思われるかも知れませんが、私なりに理由があります。
世界のブランド品は、世界の人が認めたから、ブランドとなっているのです。初めからブランド品として売り出したものではありません。
世界中の人の目が、ブランド品をブランド品として認めたから、今世の中に知られるようになったのです。そこには、有名になる理由があり、その制作者が骨身を削って作り上げた物なのです。
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私は、時計屋をしていましたので、例を挙げて見ます。
例えば、ロレックスと言う時計があります。スイスで作られています。検証したわけではありませんが、ロレックスの歯車の芯棒は、大きな鋼材を寝かせ、錆びさせた後、その内部の鋼材を削ったものを使っていると言う話を聞いたことがあります。
世の中には、ロレックスより高価な時計は、幾つもあります。しかし、中を開けて見て、ロレックス、オメガ、ユニバーサル、インターナショナルなどのメーカーのムーブメント(機械部分)の洗練された様子には、芸術が分かっていない私が言うのもおこがましいですが、芸術品と言ってもおかしくない洗練さを見る事ができます。
これは、私が時計屋をしていた頃、今から40年以上も前の事ですから、今はまた違った時計が出てきているのでしょう。
有名になるには、有名になる理由が、必ずあります。ですから、私は、物を選ぶとき、懐具合と相談しながら、ブランド品を選択します。
まあ、当たり外れがないという事です。
何度も同じことを言うようですが、人から見てブランド品とあからさまに分かるようなものは、なるべく控えた方が、顰蹙(ひんしゅく)を買わずに済みます。念のため。
昔の着物のおしゃれは、裏地にあったように、さりげなく粋に着こなしたいものです。