お習字から書道へ Section 34

 前回は、「こざとへん」「ころもへん」「しめすほへん」を取り上げました。
 文字は、「阪」「限」「際」、「社」「神」「票」、「被」「袖」「袋」を楷書で、「際」「社」「神」「票」「被」「袖」「袋」を書写体で書きました。

 今回は、「てへん」「うしへん」「けものへん」を取り上げました。
 文字は、「打」「扱」「持」、「物」「特」「犠」、「独」「狩」「猫」を楷書で、「物」「犠」を書写体で書きました。

 毎朝起きてから、一時間程度身体を調整するため、独自の運動をしてから、お習字をします。

 お習字のための運動というより、老化防止のための運動です。

 しかし、この運動は、空手道のためには欠かす事の出来ない方法で行っていますが、お習字のためにも、大変有効です。

 お習字も、空手同様集中力が重要な要素ですが、その集中力の元になるのが身体の軸と言われる深層筋のバランスだと思っています。

 私の場合は、長くても一年、早ければ一ヵ月くらいで、違うカリキュラムに変えて運動します。

 今やっている方法は、まだ初めて2週間ほどなので、もう少し効果が現れてくれば紹介する機会があるかも知れません。

 とは、言いながら、今回は、身体の調子が今一つですが、お習字をした結果が今日の出来映えです。
 


 「てへん」は、簡単に書けると思い、書き始めましたが、非常に難しく感じました。書いても書いても思ったようにバランスが取れません。

 お習字の場合は、その日によって、うまく集中できる日とそうでない日があるのですが、今日は調子が良くなかったかも知れません。

 特にどこが、と言う分けでもなく仕上がりが良くありませんでした。

 

 

 「うしへん」も同時に書きましたので、出来映えは良くありません。

 やっぱりしっくりいきません。

 そんな中で、「物」は、逆に上手く書けないと初めから思っていましたが、結構バランスよく書けた気がします。

 特に旁の「義」は、思ったよりも難しく感じました。自分のイメージで書くより、手本を観察して書く方が難しいと感じる文字の一つでしょう。

 通常は、手本を見て書く方が、格段に上手く書けるのですが、「義」の文字はしっくりきませんでした。

 


 すこし、調子が乗って来たのか、「けものへん」までに、眠気が覚めたのか、上手く書けたように思います。

 先述したように、お習字を始める前に、身体の軸を鍛えていますが、今日は、それでも、眠気が覚めずに、お習字を始めましたので、調子が悪かったのかも知れません。
 

 

 一口メモ 

  前回からの続きで、『はじめての書道楷書』(関根薫園著)で、中国の李淳と言う人の手による「結構八十四法」と言う文字の組み合わせ方を説明していきたいと思います。

 今日は第八回目です。取り上げるのは、「減捺げんなつ」「減勾げんこう」「譲横じょうおう」「譲直じょうちょく」の4つです。

 「減捺げんなつ」の例は「癸」です。一文字の中に右払いが二つ以上あるときは、一つだけ、右払いにして、後は長点にしてとめ、変化を付けます。

 「減勾げんこう」と言うのは、「勾」を減らすと書きます。その通りの意味ですが、「勾」と言うのは、ここでは「はね」の事を言っていると理解しました。例が「禁」をあげていますのです、「林」は、楷書で書くと、縦画は収筆で、小学校で習う時には、止めますが、はねるのが一般的です。この「禁」と言う漢字の場合、三か所はねる部分が出てきます。こういう場合には、「示」の部分だけはねて、後は止めるようにします。

 「譲横じょうおう」この言葉も、横画に譲ると覚えると良いと思います。例は「喜」をあげていますが、九画目の横画を長く伸ばす事によって縦長の文字のバランスを取る事ができます。

 「譲直じょうちょく」、上の「譲横じょうおう」と同じで、直、すなわち縦画に譲ると覚えるとイメージが湧きます。例は「平」ですが、縦画によって文字の安定を図っています。

 

【参考文献】
・青山杉雨・村上三島(1976-1978)『入門毎日書道講座1』毎日書道講座刊行委員会.
・高塚竹堂(1967-1982)『書道三体字典』株式会社野ばら社.
・関根薫園(1998)『はじめての書道楷書』株式会社岩崎芸術社.
・江守賢治(1995-2016)『硬筆毛筆書写検定 理論問題のすべて』株師会社日本習字普及協会.
江守賢治(1981-1990)『常用漢字など二千五百字、楷行草総覧』日本放送出版協会.
・江守賢治(2000)『楷行草筆順・字体字典』株式会社三省堂.