中学校で習う漢字三体字典 Part3

 中学校の三年間で習う、1110文字の内の5つの漢字を書いています。漢字は2020年度施行の学習指導要領に対応しています。

 表示は左端が対象漢字、続いてカタカナは音読み、平仮名は訓読み、画数、部首の順です。そして、ことわざ・故事・文章などから一つを選んでその漢字の使われ方を示す事にしました。

 ちなみに、文部科学省では学年ごとに習う漢字は、1学年250字程度から300字程度、2学年300字程度から350字程度、3学年では、その他の常用漢字(小学校で習う漢字1026文字以外の常用漢字1110文字の大体)と学年ごとに決まっていないようです。

11. [][イ][画数:9画][部首:爪]

『おごかし』

 「あなたのために」とか「悪いようにしないから」とか、ホントに上手く人をたぶらかす人がいると思います。
 しかし、知らない間に、自分もそん言葉を使っているかも知れません。相手を騙したり、嘘をつくつもりはなくてもです。
 しかし、この言葉は「御為倒し」と書きます。ですから、相手の為と言いながら、実際には相手を利用して自分の利益を図る事が、「こかし」の意味にあります。大阪弁で「こかす」と言うのは、倒す、転ばすと言う意味ですが、確かにだますとか一杯くわせるといった意味があるようです。
 本当に相手の事を思うのであれば、まず自分の事は念頭に置かない事が必要でしょう。

楷書 行書 草書

12. [][イ][おそ-れる][画数:9画][部首:田]

後生こうせい おそるべし』

 若い人を侮ってはいけない事は十分解っていると思うのですが、やはり社会的にまだ馴染んでいない、社会常識に欠ける人を見ると、侮ると言うのか、つい上から目線にものを言ってしまうかも知れません。
 ただ、『男子三日会わざれば刮目して見よ』との慣用句に見られるように、決して相手を侮ってはいけないとの戒めもあります。この言葉の原文は、三国志の「士別れて三日なれば刮目して相待すべし。」【出典:三国志演義】にあります。
 私は、いつの頃からか、年齢にあまり囚われる事も無くなりました。ただ一つ弊害があります。それは年長者から疎まれると言うのか、礼儀知らずと思われがちになる事です。
 確かに年長者には敬意を払うべきだとは思うのですが、それが出来ていないのでしょう。

楷書 行書 草書

13. [][イ][画数:11画][部首:寸]

 「い」と読むと、現在の自衛隊の階級を現わします。一尉・二尉・三尉・准尉を総称して尉官と言います。
 また、「じょう」と読む場合もあります。この場合は、「(1)老翁。おきな。特に能で、老翁の役。また、それに用いる能面。(2) 炭火の白い灰となったもの。」【出典:デジタル大辞泉 小学館.】と説明があります。
 文化に親しむ場合には、「じょう」という読み方、意味を知っておくと良いと思います。

楷書 行書 草書

14. [][イ][な-える][画数:11画][部首:艸]

靡不振いびふしん

 意味としては元気がない様子、覇気がないとも言います。「萎」も「靡」も共に生気をうしなう意味がありますが、どちらかというと「靡」は「萎」を増幅するような意味で使われているのかと思います。
 不思議に人間はバイオリズムと言うのか、好不調があり、一日の内にもこれが変化します。
 まだそのメカニズムが解明されている分けでは無いのですが、現実に見られる現象です。
 このメカニズムと、萎靡不振の状態を解決できる方法が見つけ出されれば、難病と言われるような原因不明の病気に悩まされている人達に、光を当たる事が出来ると思います。

楷書 行書 草書

15. [][イ][えら-い][画数:12画][部首:人]

容貌魁ようぼうかいい

 「・・・容貌魁偉な大男が、湯帷子ゆかた兵児帯へこおびで、ぬっとはいって来るのを見る。・・・」【出典:余興 森鴎外著】。
 この文章を読むと、辞書にある意味のように「姿かたちがたくましく立派な・こと」【出典:大辞林第三版 三省堂.】のような肯定的な意味では無く、少し揶揄したような使い方に思えます。
 個人的には文字から受ける印象は、畏敬と言うよりは、畏怖の気持ちになります。

楷書 行書 草書
覚 書

 現在中学生編として、2020年度施行の学習指導要領に対応した漢字を、楷書・行書・草書と三体の文字を毛筆で書いていますが、初めに部首と書いていますが、通常呼ばれている読み方ではないと思われたと思います。

 そこで、一般ではどんな読み方をされているのか一覧にしてみました。

 今回は、中学校三年間で習う文字の11.~15.の部首を取り上げていますが、日本では部首の正式な名称は決まってないようです。辞書によって統一されていないのが現状です。

部首 部首名称 (読み方) 部首通称

  1. 【為】爪部(そうぶ)・つめ・そうにょう・つめかんむり
  2. 【畏】田部(でんぶ)・た・たへん
  3. 【尉】寸部(すんぶ)・スン
  4. 【萎】艸部(そうぶ)・くさ・くさかんむり・そうこう
  5. 【偉】人部(じんぶ)・ひと・にんべん・ひとがしら・ひとやね

 ・・・・つづく。