縦画や横画、縦画と横画を合わせたもの、あるいは、払いについて、その起筆や収筆を、私が注意している点を中心に書いてきましたが、
今回は、「曲がり」と東京書道教育会では呼称していますが、書道界で統一されている様子はありません。しかし、小学校の教材では、「曲がり」「折れ」「そり」が正しい呼称とされています。
そこで、どういう文字に「曲がり」と言う部分があるかを、書いて見ました。
「曲がり」と言われている文字には、二種類ある事が分かります。一つ目は収筆で「とめ」がある文字。そして二つ目は、収筆で「はね」がある場合です。
今回は、「七九」と書いて見ました。「七」の収筆は「とめ」、「九」の収筆は「はね」になります。
黄色で書いた線が、穂先が通ると考えてください。直線から曲線になる所で、穂先がクロスします。
一口メモに書いていますが、少し例をあげておきましょう。
書道の場合に、楷書と言われている文字の中で、「曲がり」の収筆が「とめ」の場合、壱・褐・詣・能・北・燕・此・股・処・虎・荒・忙・港・粋・探・甚・発等をあげる事ができます。そして、ここに上げた文字が入っている場合は、殆どが収筆で「とめ」になります。
今あげた文字の数は、多く感じられると思いますが、収筆が「はね」の文字は、もっと沢山あります。
ちなみに、宛・庵・允・胤・院・悦・苑・乙・俺・化・花・塊・概・覚・完等多数見られます。
東京書道教育会では、九・光・比・元・見が上げられていますが、この中で、「比」と言う文字は、『楷行草筆順・字体字典』(江守賢治著)では、「とめ」になっています。どちらか一方に決定して欲しい所です。一口メモで書きましたが、『楷行草筆順・字体字典』(江守賢治著)では、楷書ではこの形が良いとされている文字の中にあります。
「曲がり」と「そり」は、別々の呼称がついていますが、書き方のコツは同じと思っています。今回は、一緒に載せるため「薫風」と書いてみました。
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【参考文献】
・青山杉雨・村上三島(1976-1978)『入門毎日書道講座1』毎日書道講座刊行委員会.
・高塚竹堂(1967-1982)『書道三体字典』株式会社野ばら社.
・関根薫園(1998)『はじめての書道楷書』株式会社岩崎芸術社.
・江守賢治(1995-2016)『硬筆毛筆書写検定 理論問題のすべて』株師会社日本習字普及協会.
・江守賢治(2000)『楷行草筆順・字体字典』株式会社三省堂.