文武両道のために・・・・『徒然草』を読んで見る。【154】

 今日の文字は『権力けんりょく』です。書体は草書です。今日読んで見ようと思う、『徒然草 第百五十三段』を読んで見て、感じた文字です。

原文 現代文を見る 権力

 

『東名あおり運転事故、被告側控訴=懲役18年実刑を不服』
(時事通信社 2018/12/21 19:02)

「 神奈川県大井町の東名高速道路で昨年6月、「あおり運転」を受けて停止した夫婦の車にトラックが追突、夫婦が死亡した事故で、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)罪などに問われた無職石橋和歩被告(27)の弁護側は21日、懲役18年の実刑とした一審横浜地裁判決を不服として、東京高裁に控訴した。
—–中略—–
弁護人は控訴後、「被告の妨害運転と死傷事故との間の因果関係を認めてしまっているところを問題と考え、職責として控訴した。本人は反省していないわけではない」と話した。」

 この事故の裁判は非常に難しいと思いました。心情的には判決を支持したいのですが、他に何か刑法上重大な罪があってもよさそうに思います。

 もしかしたら、二審で判決は覆されるかも知れません。これは法律の抜け穴を弁護側は探してくるでしょうね。
 
 さぁ、今日も一日元気で過ごしましょう。

 
徒然草 第百五十三段 〔原文〕

 爲兼大納言入道 召し捕られて、武士ものゝふども打ち圍みて、六波羅へ率て行きければ、資朝卿、一條わたりにてこれを見て、「あな羨し。世にあらむ思ひ出、かくこそ有らまほしけれ」とぞいはれける。

 

 

『現代文』

『為兼大納言入道が召し捕られて、武士たちが囲み、六波羅へ引き連れて行った所、資朝卿は、一条あたりでこれを見て、「ああ心が惹かれる。生きて来た記憶は、このようにありたいものだなあ」と言われた。』

 

 

『権力』

 当時は、公家と武士の政権争いがあったと思われます。

 為兼大納言入道が武士によって取り押さえられたのは、天皇の代わりに捕えられたようです。

 徳政令の推進が原因で、朝廷の権威と幕府との争いに、巻き込まれたか、それとも伏見天皇の信任を受けていたので、自らかって出たのかは分かりません。

 しかし、資朝卿は、やはり公家ですから、同じ人生ならそのようにしたいと思ったのでしょう。

 資朝卿も、結局は同じように討幕を計画し、捕えられ佐渡島で処刑されているようです。

【参照】

京極為兼(為兼大納言入道)(一二五四~一三三二)鎌倉時代の歌人。藤原定家(ふじわらのさだいえ)の曾孫(ひまご)。京極為教(ためのり)の子。伏見天皇の信任をうけ、『玉葉和歌集』を撰進(せんしん)。自由清新で革新的な京極派歌人として活躍し、保守的な二条派と対立した。歌論書に『為兼卿(きよう)和歌抄』がある。
(出典:学研全訳古語辞典 学研.)
徳政令 鎌倉末期から室町時代、幕府や大名が徳政を行うために発布した法令。
(出典:大辞林第三版 三省堂.)

 今も権力争いが、国同士でも、議員の間でも、会社でも、スポーツの世界でも、当たり前のように行われているようです。

 本当に組織の悪いと思われる所を直したいと、使命感に燃えているなら、まだしも、単に自分が権力を得たい衝動に駆られて、尤もらしい言い訳を用意して人を煽動する人の如何に多い事か。

 また、それに乗る人も、自分に何らかのチャンスを期待して、尻馬に乗る事もあります。

 使命感に燃えていると書きましたが、その使命感も、本当に人の為になるのでしょうか、疑問に感じます。

 権力と言うのは、そんなにも人の心を狂わしてしまうほど、魅力的なのでしょう。

 ここで言われているような、「あな羨し。世にあらむ思ひ出、かくこそ有らまほしけれ」等と言う言葉には、まったく同意する気持ちになれません。

 若い頃なら、正しいと素直に思えた事も、もう少し客観的に物事を見定める目が出来ると、正しいと思っていた事も、違う観点から見るようになります。

 明治維新にしても、NHKの大河ドラマ『西郷どん』を時々見るのですが、あくまでもこれは史実ではなくドラマと思っても、果たして西洋文化を取り入れる事が良かったのか、疑問に感じる事があります。

 文化と言うものは、その国その国が長い歴史の中で培ってきた、その国に適した風土によって文化が発展してきたのではないかと思うのです。

 先日、12月16日のNHKスペシャル「アウラ 未知のイゾラド 最後のひとり」を見て感じた事は、なぜ文明を持った人々は、自分の側の正義感からしか物を見る事ができないのか、と言う事でした。

 そして、接触すること自体が、文明を持った者の奢った権力の行使である事に気付くべきです。優しくても、保護する意味であってもです。

 もし、この『アウラ』と言う人々が滅亡した理由が、自然の摂理ではなく、文明だったとしたら、何のための文明なのでしょう。心が痛みます。