中学校で習う漢字三体字典 Part202

 中学校の三年間で習う、1110文字の内の5つの漢字を書いています。漢字は2020年度施行の学習指導要領に対応しています。

 表示は左端が対象漢字、続いてカタカナは音読み、平仮名は訓読み、画数、部首の順です。そして、ことわざ・故事・文章などから一つを選んでその漢字の使われ方を示す事にしました。

 ちなみに、文部科学省では学年ごとに習う漢字は、1学年250字程度から300字程度、2学年300字程度から350字程度、3学年では、その他の常用漢字(小学校で習う漢字1026文字以外の常用漢字1110文字の大体)と学年ごとに決まっていないようです。

1006. [][やみ][画数:17画][部首:門]

『馬鹿と暗おっかない』

 一人で高野山の山の中の庵で一ヵ月過ごした事がありました。高校生の時です。
 山籠もりとまでは行かないのですが、その庵は人里離れていて、夜になると真っ暗になります。昼間は空手の稽古で気が紛れるのですが、夜になるとゾッとする事も度々ありました。この諺のとおり、理由もなく暗闇が怖かったのを思い出します。
 しかし、馬鹿の恐ろしさよりは、ましかな、と思います。訳の分からない、話しが通じない相手は、何をしでかすか分かったものではありません。
 一見賢そうに見えても、喧嘩の好きな人は、ある意味そんな馬鹿と同じで、限度を超えたことをします。あまり関わりたくありません。
 それと、空手道の世界で言えば、高段者より初心者の方が気を引き締めなくてはなりません。それは、馬鹿ではありませんが、何をするか予想が付かないからです。

楷書 行書 草書

1007. [][ユ][画数:12画][部首:口]

『引失義』

 こう言うのを詭弁と言うのでしょうか。あたかも正しいかのように理由を付けて、強引に正当化されると、気を付けて聞いていないと、術中に嵌ってしまいます。
 そんな都合の良いたとえ話を引用して、自分の意見を通そうとする人は確かにいます。しかし、大抵の場合矛盾した理論展開になるので、すぐにボロがでると思います。
 ただ、そんな意見の中には、悪意がない場合もあります。引用する話が間違っているだけかも知れません。しっかりと最後まで話に耳を傾けたいですね。

楷書 行書 草書

1008. [][ユ][画数:12画][部首:心]

『快活快』

 「明るく朗らかで、楽しく心地よいこと。」【出典:四字熟語辞典ONLINE.】。
 こんな人が傍にいてくれると、自分まで陽気でいられるような気がします。
 人間とは図々しいもので、そんな人を求めます。しかし、自分が快活愉快な人になれば、もっと人を幸せな気持ちにさせられるのにと思うのですが。

楷書 行書 草書

1009. [][ユ][さと-す][画数:16画][部首:言]

『物のし』

 この言葉知ってました?「神仏のお告げ。また、前兆としての怪異・天変地異。」【出典:デジタル大辞泉 小学館.】。
 私は初耳です。「その年、朝廷に、もののさとししきりて、もの騒がしきこと多かり。」【出典:源氏物語 第二章 明石の君の物語 明石での新生活の物語、第八段 都の天変地異】の最初に「もののさとし」と言う言葉が出てきます。
 博学の人は、こんな言葉まで知っているのでしょうね。

楷書 行書 草書

1010. [][ユ][い-える][い-やす][画数:18画][部首:疒]

『創痍未だえず』

 これは、「史記」の季布欒布列傳にこの言葉の語源がありました。「樊噲可斬也!夫高帝將兵四十餘萬眾、困於平城、今噲柰何以十萬眾橫行匈奴中、面欺!且秦以事於胡,陳勝等起。于今創痍未瘳、噲又面諛、欲搖動天下。」これはその一部ですが、「于今創痍未瘳」がこの諺の由来だと思います。
 この史記に書かれてある時代の事は分かりませんが、私は第二次世界大戦の直後に生まれました。まだ町には傷痍軍人の人が沢山いて、本当に戦争で傷を負った人もいたのでしょうが、偽物も横行した時代でした。
 ただ、実際に戦地で負傷して、復員したものの生活に困窮し、繁華街や祭りの縁日で通行人から施しを受けていた姿がありました。
 しかし、国家により救済支援制度が整備され、いつの間にかそんな姿を見る事も無くなったのですが、果たして国はその責任を果たしたと言えるのでしょうか。

楷書 行書 草書
覚 書

 現在中学生編として、2020年度施行の学習指導要領に対応した漢字を、楷書・行書・草書と三体の文字を毛筆で書いていますが、初めに部首と書いていますが、通常呼ばれている読み方ではないと思われたと思います。

 そこで、一般ではどんな読み方をされているのか一覧にしてみました。

 今回は、中学校三年間で習う文字の1006.~1010.の部首を取り上げていますが、日本では部首の正式な名称は決まってないようです。辞書によって統一されていないのが現状です。

部首 部首名称 (読み方) 部首通称

  1. 【闇】二部(にぶ)・ニ
  2. 【喩】二部(にぶ)・ニ
  3. 【愉】心部(しんぶ)・こころ・りっしんべん・したごころ
  4. 【諭】言部(げんぶ)・ことば・ゲン・ごんべん
  5. 【癒】疒部(だくぶ)・やまいだれ

 ・・・・つづく。