中学校で習う漢字三体字典 Part4

 中学校の三年間で習う、1110文字の内の5つの漢字を書いています。漢字は2020年度施行の学習指導要領に対応しています。

 表示は左端が対象漢字、続いてカタカナは音読み、平仮名は訓読み、画数、部首の順です。そして、ことわざ・故事・文章などから一つを選んでその漢字の使われ方を示す事にしました。

 ちなみに、文部科学省では学年ごとに習う漢字は、1学年250字程度から300字程度、2学年300字程度から350字程度、3学年では、その他の常用漢字(小学校で習う漢字1026文字以外の常用漢字1110文字の大体)と学年ごとに決まっていないようです。

16. [椅][イ][画数:12画][部首:木]

『椅子』

 「椅」は木の名前だそうです。しかし、一文字でもいすや腰掛の意味があるらしいです。
 「天椅立」と書いて「あまのはしだて」と読む神社が阿波国(徳島県三好郡東みよし町昼間3265)にあるようです。名前は天椅立神社です。行った事はありません。
 「椅子」には、ポストを現わす言葉としても「大臣の椅子」「社長の椅子」などと呼ばれる事もありますが、中国や日本では、西洋のChair(イス)とは違って、権威を現わしていた名残なのでしょう。

楷書 行書 草書

17. [彙][イ][画数:13画][部首:彐]

『語彙』

 使う言葉としては、「あの人は語彙が豊富だから、解りやすい」とか言います。要するに単語を良く知っているという事ですね。
 しかし、この「彙」と言う漢字は、私が書いた楷書と上の部分が違います。私は、「楷行草 筆順・字体字典」【江守賢治編者 三省堂.】を手本として書いています。その字典には、「楷書で書く場合はこの形がよい」と書かれています。
 ただ、漢字として覚える場合は、活字も記憶しておく方が良いと思います。

楷書 行書 草書

18. [][イ][ちが-う][ちが-える][画数:13画][部首:辵]

『見ると聞くとは大い』

 「百聞は一見に如かず」と同じような意味で使います。どちらかと言うと、話し言葉は、こちらの方が柔らかく聞こえるように思います。もちろん、ニュアンスが違いますから、多少受ける印象も違います。
 「百聞は一見に如かず」の方は、座学で多くの知識を得るよりも、見た方が為になると言った意味に取れます。
 また、「見ると聞くとは大い」の場合は、話しに聞いていたのと随分違うじゃないかと言うような、一種騙されたような気持ちになった時に言うのかも知れません。
 風景や建物など、確かに人に聞いた話と、実際に見るのとは違う感覚になります。
 最近は4K、8Kなどのテレビが出来ましたが、どうなんでしょう。家にはどちらもありませんから、評価のしようがありません。
 詳細に映し出されるのと、実際にその場に行って見るのとでは、やはり臨場感を含めて違うのかも知れません。

楷書 行書 草書

19. [][イ][画数:14画][部首:糸]

摩一黙ゆいまいちもく

 「口」に関しての戒めの言葉は沢山あるのですね。こんな言葉は耳にした事も、見た事もありませんでした。
 「多くのことを喋るより沈黙がまさっているということ。「維摩」は釈迦の弟子の一人で、仏教の教理について、釈迦の弟子たちが議論していた時に、文殊菩薩は文字や言葉では言い表せないといい、その後に意見を求められた維摩は、何も語ろうとせずに教えを態度で示したという故事から。」【出典:四字熟語事典ONLINE.】。
 「目は口程に物を言う」「口は閉じておけ 目は開けておけ」「開いた口には戸がたたぬ」「口は禍の元」などなど、枚挙にいとまがないくらいです。ホントに口は困ったものです。

楷書 行書 草書

20. [][イ][なぐさ-める][なぐさ-む][画数:15画][部首:心]

温言おんげんいしゃ

 「同情するなら金をくれ」テレビドラマ「家なき子」の有名なセリフが頭をよぎります。確かにお金に困っている時には、どんな暖かい言葉の慰めよりも、お金に勝るものはないかも知れません。
 また優しい言葉よりも、時には叱咤された方が前向きに生きる事ができるかも知れません。その時の人の性格や環境により、言葉も伝わり方が違うと思います。
 ただ、場合によっては、この言葉のように優しい慰めが勇気になる事もあると思います。

楷書 行書 草書
覚 書

 現在中学生編として、2020年度施行の学習指導要領に対応した漢字を、楷書・行書・草書と三体の文字を毛筆で書いていますが、初めに部首と書いていますが、通常呼ばれている読み方ではないと思われたと思います。

 そこで、一般ではどんな読み方をされているのか一覧にしてみました。

 今回は、中学校三年間で習う文字の16.~20.の部首を取り上げていますが、日本では部首の正式な名称は決まってないようです。辞書によって統一されていないのが現状です。

部首 部首名称 (読み方) 部首通称

  1. 【椅】木部(もくぶ)・き・きへん
  2. 【彙】二部(にぶ)・ニ
  3. 【違】辵部(ちゃくぶ)・しんにょう・しんにゅう
  4. 【維】糸部(べきぶ)・いと・いとへん
  5. 【慰】心部(しんぶ)・こころ・りっしんべん・したごころ

 ・・・・つづく。