中学校の三年間で習う、1110文字の内の5つの漢字を書いています。漢字は2020年度施行の学習指導要領に対応しています。
表示は左端が対象漢字、続いてカタカナは音読み、平仮名は訓読み、画数、部首の順です。そして、ことわざ・故事・文章などから一つを選んでその漢字の使われ方を示す事にしました。
ちなみに、文部科学省では学年ごとに習う漢字は、1学年250字程度から300字程度、2学年300字程度から350字程度、3学年では、その他の常用漢字(小学校で習う漢字1026文字以外の常用漢字1110文字の大体)と学年ごとに決まっていないようです。
911. [弊][ヘイ][画数:15画][部首:廾]
『弊履を棄つるが如し』
今「断捨離」と言う言葉が流行っているようですが、この諺は、惜しげもなく捨てる事を、破れた履物に譬えています。
もう履けそうもない履物なら、潔く捨てた方が良いと思いますが、ただ修理して使えるのなら、捨てるより大切に物は扱った方が良いと思います。
「もったいない」も過ぎれば、ゴミ屋敷になりかねませんし、断捨離も、使える物まで捨てる必要は無いと思います。それより、直ぐに捨ててしまうような物を購入しない事だと思います。
世の中は経済優先になっていますから、そんな事を言うとお金が回らないと言う人もいると思います。
富裕層は、どんどんお金を使ってもらい、格差社会の下にいる人は、どんどん使うお金もありませんから、幸せに暮らそうと思うと、「もったいない精神」で豊かな暮らしをしてみるのも一考かと思います。
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912. [蔽][ヘイ][画数:15画][部首:艸]
『一言蔽之』
難しいですね。一言で全てを言いきる。そんな言葉が浮かぶ人は、やはり才能があるのでしょう。
卑近な例では、元総理大臣の小泉純一郎氏が思い浮かびます。そしてその短い言葉で人を動かすのですから、やはり只者ではないと思います。それでも在任中は周りを気遣って、思った事の全てを口に出してはいなかったようです。
反対にだらだらと、人を煙に巻くような話し方をする人もいます。これも一つの才能かも知れませんが、私は、短い言葉に集約できる方に成りたいです。
ただ、私の場合はだらだらと要旨がまとまらない事が多いと思います。どうすれば、「一言蔽之」のような言葉が思いつくのでしょうか。
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913. [餅][ヘイ][もち][画数:15画][部首:食]
『朔日ごとに餅は食えぬ』
よく贅沢の象徴として「餅」が引き合いに出されます。この諺も「餅」を贅沢な食べ物として挙げていると思います。
「朔日」と言うのは、毎月の一日目の事を言うのですが、正月に餅が食べられたからと言って、毎月毎月、一日に餅が食べられるという事はない。そんな事を言っています。
意味としては、いつもいつも良い事ばかり起こるとは限らない。そんな言葉です。
それはそうですね。良い事と悪い事は、相反するから、意味があると思います。すべて悪い事だけなら、良い事は分かりませんし、反対に良い事ばかりでは、嬉しいと言う感情も起こらないのではないでしょうか。
人生は、良い事と悪い事があるのが当たり前、そんな風に思えれば良いのですが。
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914. [壁][ヘキ][かべ][画数:16画][部首:土]
『人の苦楽は壁一重』
対岸の火事とも言いますが、人の災難はなかなか自分の事のようには思えないです。
この言葉は、壁を一つ隔てるだけで、苦しみがあっても、楽しい事があっても、伝わらない事を示しています。
これは、壁と言う物質的な隔たりだけではなく、他人の苦しみや嬉しさも、自分の事のようには思えないのが実際です。例えそれが親友であっても、恋人でも、家族でも同じだと思います。
それは、まったくの赤の他人よりは、少しはその人の気持ちに近づけそうですが、やはり同じようにいきません。
ですから、出来るだけその人の気持ちに寄り添う事が出来ればと思います。
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915. [璧][ヘキ][画数:18画][部首:玉]
『完璧帰趙』
この言葉は、「璧を完うして趙に帰る」とも読みますが、原文は「城不入、臣請完璧帰趙。」が史記の完璧帰趙の一節に見られます。この言葉が「完璧」の語源になったとされています。
この原文を現代文にしますと、「城が手に入らなければ、私に璧を無傷のままで趙に持ち帰らせてください。」と云う内容ですが、前後がなければ何のことか分からないと思います。
そこで、掻い摘んで内容を書く事にします。
「中国に秦と趙という国があった時代の話です。秦は強国、趙は弱小国です。趙の璧が欲しくなり、城と交換しようと持ち掛けます。この事に対し小国の趙は困っていたのですが、その臣下藺相如が名案をだし、自ら使者として秦に行き、この璧を無傷のまま持ち帰って、事なきを得たという話です。」あまりにも掻い摘み過ぎで良く分からないと思いますので、詳しく知りたい方は、「史記」を参照してください。
ちなみに、この「璧」は、いわゆる宝石の事ですが、お城と交換できるような名玉と云われています。その名前は山中で見つけた卞和と言う人の名を取り「和氏の璧」と呼ばれています。
しかし、この名前が付けられるまでに、この宝石の価値が解ってもらえず、足を切断される刑に処せられ、結局二度刑を受けたので両足を切断されたという、いわくつきの話です。
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