中学校で習う漢字三体字典 Part148

 中学校の三年間で習う、1110文字の内の5つの漢字を書いています。漢字は2020年度施行の学習指導要領に対応しています。

 表示は左端が対象漢字、続いてカタカナは音読み、平仮名は訓読み、画数、部首の順です。そして、ことわざ・故事・文章などから一つを選んでその漢字の使われ方を示す事にしました。

 ちなみに、文部科学省では学年ごとに習う漢字は、1学年250字程度から300字程度、2学年300字程度から350字程度、3学年では、その他の常用漢字(小学校で習う漢字1026文字以外の常用漢字1110文字の大体)と学年ごとに決まっていないようです。

736. [][テキ][しずく][したた-る][画数:14画][部首:水]

『大海の一

 大きな海も一滴の水の集まりとも解釈できる言葉です。逆に自分の存在など、大きな海の中の一滴の水に過ぎないとも。
 人間の行いや存在は、この言葉のように、僅かな価値しかないのかも知れません。しかし、その僅かな事でその大海を形作っているとも考えられないでしょうか。
 私は、その僅かな可能性が、人間一人一人にあるのではないかと思っています。

楷書 行書 草書

737. [][デキ][おぼ-れる][画数:13画][部首:水]

『海中より盃中に死する者多し』

 面白い譬えですね。余程酒の上での失敗や飲み過ぎて身体を壊してしまう人が多いのかも知れません。
 私も仕事上毎晩のようにお酒を飲んで、いや飲まざるを得ない時がありました。
 必ず途中でトイレで嘔吐して、何も無かったような顔をして飲み続けたのですが、あのままだったら、きっとこの諺のように身体を壊していたと思います。
 ただお酒の上での失敗は無かったように思いますが、お酒を飲んでいる時の記憶は定かではありませんので、自信をもって言う事も出来ません。
 なぜ、酒の上での事は、大目に見るのでしょうか。そちらの方が疑問です。

楷書 行書 草書

738. [][テツ][画数:8画][部首:辵]

両統りょうとうてつりつ

 「鎌倉後期、後嵯峨天皇のあとの皇統が大覚寺統(亀山天皇の血統、のちの南朝)と持明院統(後深草天皇の血統、のちの北朝)との二つに分かれ、交互に皇位についたこと。」【出典:大辞林第三版 三省堂.】とありますが、「迭立」の意味、「交互に立つ」からすると、 二つの皇統が、かわるがわる皇位につくことで、これは日本だけに限った事ではないと思います。
 ですから、「一国の世襲君主の家系が2つに分裂し、それぞれの家系から交互に君主を即位させている状態である。」【出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』】の方が、的を得ているように思います。ただし、その例は僅かにしか見る事ができません。
 日本の場合には、この「両統迭立」がキッカケとなって南北朝時代に繋がる事だけ覚えておきます。

楷書 行書 草書

739. [][テツ][画数:10画][部首:口]

婦傾城』

 「賢い女性が事あるごとに口をはさむようになると、国家や城を傾け滅ぼしかねないということ。」【出典:四字熟語辞典ONLINE.】。
 この四字熟語は、中国最古の詩篇と言われています。その中の大雅(蕩之什)《瞻卬》に「哲夫成城、哲婦傾城。 懿厥哲婦、為梟為鴟。」と言う一節がありますが、その中の一文です。
 時代と共に男女の価値も、あるいは在り方、生き方も変化していく事を如実に表している言葉ですね。

楷書 行書 草書

740. [][テツ][画数:15画][部首:彳]

『老いの一

 「自分の意見や意向を押し通そうとする、老人の頑固な気質のこと。」【出典:ことわざ辞典ONLINE.】。
 年老いたから、頑固になる、本当にそうでしょうか。
 それは、新しい事への興味を受け入れられない人や、新しい事を拒絶するような懐古趣味のある人、あるいは時代の波に取り残された人たちが、自分の考え方に固執するのではないかと思っています。
 固執するというより、自分の考えが正しいと思い、他の意見や考えになかなか同意できないのでしょう。
 私も、こと空手道に関しては、譲れない考え方を持っています。ですが、他を排除しようとは思っていません。自分は、一途に自分の考えた空手道を只管歩もうと思っています。これは「道」ですから。
 しかし、他の事は、「老いては子に従え」と言う言葉もあるように、時は知らない間に流れて行きます。時代を知らないと、現在進行形で生きているとは思えません。若い人が考えている事を知る事も、一つの生きている証拠かも知れません。

楷書 行書 草書
覚 書

 現在中学生編として、2020年度施行の学習指導要領に対応した漢字を、楷書・行書・草書と三体の文字を毛筆で書いていますが、初めに部首と書いていますが、通常呼ばれている読み方ではないと思われたと思います。

 そこで、一般ではどんな読み方をされているのか一覧にしてみました。

 今回は、中学校三年間で習う文字の736.~740.の部首を取り上げていますが、日本では部首の正式な名称は決まってないようです。辞書によって統一されていないのが現状です。

部首 部首名称 (読み方) 部首通称

  1. 【滴】水部(すいぶ)・みず・さんずい・したみず
  2. 【溺】二部(にぶ)・ニ
  3. 【迭】辵部(ちゃくぶ)・しんにょう・しんにゅう
  4. 【哲】口部(こうぶ)・くち・くちへん
  5. 【徹】彳部(てきぶ)・ぎょうにんべん

 ・・・・つづく。