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文章の青字で記述したものは、現在、日本空手道髓心会で行っている方法です。しかし、これも全日本空手道連盟の指定の方法がありますので、これに従って練習しているのが実情です。これについては、記述していません。 なお、緑字で記述したものは、原点に戻した方が合理的と思われるところです。 昭和10年当時まだ立ち方、受け方、突き方の名称が定まっていなかったと思われる記述があります。この場合も現在の方法として、青字で書く事にします。現代文にしても意味が分かりにくい部分については、赤字で追記するようにしています。同じく、写真(『空手道教範』にある)を参照の部分については、赤字文章で分かるように追記しています。『空手道教範』に掲載の写真は著作権の関係もあると思いますので、載せていません。 |
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抜塞大-20~42
「空手道教範」では、抜塞初段となっていますが、現在の名称を記載しました。
今回は、抜塞大の後半です。前半部分は、 抜塞大前半を参照してください。
20.両足そのまま左廻りに後を振り向くと同時に、左手刀中段受け、右手は胸前に。
21.左足そのまま、右足第二線上後方に向って一歩踏出すと同時に、右手刀中段受け。左手胸前に。
22.左足そのまま、右足を左足に引きつけると同時に、(22)のように諸手上段受けの姿勢をとる。
(注)左右の拳を頭上に構え、左右手首に敵の上段諸手突を受ける心持である。
『髓心会では、(22)の左にある写真のように、一旦膝を曲げて伸びあがるように両方の手で上段上げ受をしています。』
23.左足そのまま、右足一歩第二線上後方に踏出す(前屈)と共に、頭上の両拳を、あたかも物を引裂くような勢いで左右に30cm位開くと直ぐに、大きく左右に半円を描くように廻して(手甲を外にして)(23)のように手槌にて前方中段を挟み打つ(この時手甲は下になる)。手足同時に極るように。
(注)敵の諸手突を諸手で受けると直ぐに、これを左右に押し開きざま一歩踏込んで敵の両脇腹を手槌にて挟撃する心持。
『手槌と言うのは拳を握った状態の、小指側の手首に近い膨らんだ部分の事です。』
『髓心会では、(23)の左の写真で一旦両手を30cm程度引き裂くように開き、そして、相手の脇腹に円を描くように横から打ち込んでいます。手槌と言う部分は、鉄槌と呼称しています。』
24.姿勢そのまま寄足にて進みながら、左拳腰に引き、右拳にて中段突き。
(注)脇腹を挟撃されて驚き退く敵を、すかさず追いかけて突止める心持。
★ここで言われている寄足については、 「心・技・体」の「技」に詳しく書きました。
25.両足そのまま、上体を左に廻して第二線前方へ振向くと同時に、右手刀を下段に打込み、左手(開いたまま甲下)右肩前にとる(右手が下になる)と直ぐに、左右の手を互に握りしめながら引張るように右拳にて右方上段内受け、左拳にて左方下段受けすると共に、左足を右足に引きつけて立つ。顔は左方(第二線前方)を向く。平安五段の(6)(21)(22)を参照せよ。 平安五段前半 平安五段後半
26.左足そのまま、右足を第二線前方に踏出すと同時に、右拳にて右方(第二線前方)下段払、左拳を腰にとる。顔は右方に向けよ。
27.両足の位置そのまま、顔を左方(第二線後方)に振り向けると同時に、両手を胸前に交叉して(右が上)互に引張るように(弓を引く様な心持で)左手(開いて掌を前)左方に伸ばし、右拳は腰に。
28.左足を軸とし、右足を三日月形に飛して、伸した左掌を蹴り左足をその場(第二線後方、即ち(27)の姿勢に於ける左手の下)に下ろすと同時に右猿臂を使う。この時騎馬立となる。蹴る時に左手を下げないよう注意せよ。平安五段(15)を参照せよ。顔は正面(第二線右方)を向く。 平安五段後半
29.位置、姿勢そのまま、右拳を下に伸ばすと同時に、左手はその場(胸の前)にて握る(左右共手甲前)。
(注)右手にて下段を受けたる心持。左拳は水月を護る意味。
30.位置、姿勢そのまま、左拳を下に伸ばすと同時に、右拳を胸前にとる。この時下す手は内側を通るようにせよ。
31.位置、姿勢そのまま、右拳を下に打伸すと同時に、左拳を胸前にとる。(29)と同じ姿勢。
32.両足の位置そのまま、右足前屈になると同時に、左右の拳を左腰に重ね(左拳は甲下に、右拳は甲を前にして左拳の上に)、顔は右方(第二線後方)を見る。
33.位置そのまま、左拳にて上段突(甲上向)右拳にて下段突(甲下向)同時に突出す。右拳先が垂直に揃うように。(35)の反対の姿勢である。
34.左足そのまま、右足を左足に引きつけると同時に、右拳を右腰に左拳をその上に重ねる(右甲下、左甲前)。
35.右足そのまま、左足を一歩第二線後方に踏出すと同時に(前屈)(35)のように、右拳上段(甲上)左拳下段(甲下)に突込む。
36.右足そのまま、左足を右足に引きつけると同時に、両拳を左腰に重ねる。
左足其のまゝ、右足一歩踏出す(第二線後方へ)と同時に、左拳上段(手甲上)・右拳下段(手甲下)に突込む。(33)から(37)までは例の三回繰返してある。この手
は前髪を捕られた時の攻撃法である。引き寄せられた頭はそのまま、敵を見つめて、人中と下腹部に諸手の攻撃をなす。いわゆる「皮を切らせて肉を切る」の戦法である。
『髓心会では、(34)と(35)、(36)と(37)の間に足の裏で、鉄騎初段の波返しのように相手の蹴りを受ける動作を継承しています。』
『この動作は、原点に戻して素直に足を出す方が理論的だと思います。』
37左足そのまま、右足一歩踏出す(第二線後方へ)と同時に、左拳上段(手甲上)・右拳下段(手甲下)に突き込む。
(注)(33)から(37)までは例の三回繰返してある。この手は前髪を捕られた時の攻撃法である。引き寄せられた頭はその、敵を見つめて、人中と下腹部に諸手の
攻撃をする。いわゆる「皮を切らせて肉を切る」の戦法である。
『髓心会では、(35)(37)の姿勢は前かがみになります。これは、「空手道教範」でも、前髪を取られた時と記載がありますが、私が習った頃には、真直に立つのが主流でしたが、佐々木武先生から、前髪を取られて引っ張られるのについて行くようにして攻撃すると教わりました。』
38.右足を軸として、左足を引いて第一線上に左右の足を並べて(間隔広く)立つと同時に、右拳を上より左下へ円を描くように廻しながら下段内受けをする。この時左拳は腰に引き、左肩を十分後へ引き、右肩が前に出るよう。左足は自然に前屈になる。
★ここで言う前屈とは、前足を自然に曲げることで、現在足の位置まで規定している前屈立とは違います。ですから十分に腰を落とした低い姿勢になります。
39.両足の位置そのまま、右拳を腰に引き、右肩を後ろに引くと同時に、左拳を肩の前より大きく右下へ円を描くように廻して下段内受けをなす。この時左肩を前へ出して半身になること(38)に同じ。足は自然右足前屈となる。
(注)この手は敵の足を掬い受けると直ぐに、これを振り捨てる意味なので、その心持で゛低く受けることが肝要である。
★この振り捨てをする場合は、身体の中心がしっかり鍛えられていないと、態勢を崩します。その意味でも実際に相手をつけて稽古する必要があります。
40.左足を中央まで寄せ、右足を第二線前方に進める(左足後屈)と同時に、右手刀受、左手胸前に。顔は前方に向ける。
41.左足そのまま、顔を左斜に向けながら、右手、右足を手刀受の姿勢のまま第一線上に移す。
42.顔そのまま、右足を少し左足に引きつけ、左足を左斜めに進めると同時に(右足後屈)左手刀受、右手胸前に(手刀受の姿勢は平安初段を参照せよ)。
(直れ)直れにて、右足そのまま、左足を右足に引きつけると同時に、両手は用意の姿勢に復する。
【参考文献】
・富名腰義珍(1930)『空手道教範』 廣文堂書店.
・富名腰義珍(1922-1994)『琉球拳法 唐手 復刻版』 緑林堂書店.
・Gichin Funakoshi translated by Tsutomu Ohshima『KARATE-Do KyoHAN』KODANSHA INTERNATIONAL.
・杉山尚次郎(1984-1989)『松濤館廿五の形』東海堂.
・中山正敏(1979)『ベスト空手6 抜塞・観空』株式会社講談社インターナショナル.
・中山正敏(1989)『ベスト空手6 抜塞・観空』株式会社ベースボールマガジン社.
・内藤武宣(1974)『精説空手道秘要』株式会社東京書店.
・金澤弘和(1981)『空手 型全集(下)』株式会社池田書店.
・笠尾恭二・須井詔康(1975)『連続写真による空手道入門』株式会社ナツメ社.