お習字から書道へ Section 63

疑問を糧に!!

 今日も、通信教育を受けて、疑問に感じた事を、これから通信教育を受けようと思う人の参考になればと、書いて見ました。

 多分これは、私の勘違いかも知れません。用紙の問題です。

 問題は、「寸松庵色紙」の「伝 紀貫之筆」を臨書するものでした。

 私は、この教材をよく読んで、四寸(13cm)平方内外との記載がありました。そして私は、半紙に13cm角の枠を書き、その中に清書しました。

 しかし、この課題には、色紙大としか書かれていなかったのですが、私は色紙にも色々なサイズがあると思い、この「寸松庵色紙」だと思いました。他の課題では、こういう場合には別に用紙の指定がありましたが、どこを探してもその指定は見つかりませんでした。私が見過ごしたのかも知れませんが、すくなくとも「寸松庵色紙」に書かれた物を臨書する課題ですから、この色紙大(「寸松庵色紙」)で良いと思いました。

 ところが、再提出の指示があり、色紙大の指定が一般的なものでした。もちろん、文字にも添削がありましたが、これも納得するには添削の基準を知りたくなるものでした。この件に関しては、次の機会に譲る事にします。

 これは、疑問と言うより、愚痴でした。

 

 さて、今朝も文字を選んで書く事にします。

 今まで通り『楷行草筆順・字体字典』(江守賢治著)から、上手く書けそうな文字と、難しそうだな、と思う文字の二種類の文字を選ぶようにしました。

 前回は、「きにょう」「はこがまえ」「くにがまえ」を取り上げました。
 文字は、「魂」「魅」「魔」、「匠」、「四」「図」「国」を楷書で、「魂」「魅」「魔」「四」「図」「国」を書写体で書きました。

 今回は、「つつみがまえ」「かぜがまえ」「きがまえ」「よく」を取り上げました。
 文字は、「勾」「匂」「包」、「凡」「処」、「気」、「式」「弐」を楷書で、「処」「気」を書写体で書きました。 

 書いて、眺めて、自分で添削、講評してみる事も一つの稽古。

 

 「勾」と言う文字を書く時には、第一画目の左払いの位置と長さで、文字全体の構成が決まると思っています。その左払いに応じて横画を引いて中の文字を包み込むようにして折れからはねまでを書くようにしています。
 中に出来た空白が窮屈にならないように「ム」を書きました。その位置は、第一画目と二画目の交点と、二画目の払いとの線上にしています。
 
 「匂」も、「勾」と同じようなポイントで書きますが、「ム」よりもやや大きく「ヒ」を書きますので、その分余白は少なくなります。しかし、これも窮屈にならないよう気を付けています。

 

 
 
 「包」は、手本を観察しての文字ですが、納得している文字ではありません。なんだか、バランスの悪い文字になってしまいました。

 

 
 「かぜがまえ」に「風」は、入らないようです。部首が「かぜ」になっていました。

 「凡」は、我ながら上手く書けたと思います。気を付けたところは、二画目の折れから少し左下に筆を滑らせてから縦に線を引いた所です。この僅かな筆の運びで文字が締まったように思います。
 

 
 江守賢治先生の文字にしては、左の部分と右の部分との並びがちぐはぐに思いますが、これは江守賢治先生の工夫だと思います。
 手本に従って私もそのように書いています。

 

 
 この「気」は、手本のように書けていません。手本はもう少し八頭身のように上の部分が狭く書かれています。感心します。一文字一文字バランスの取れた文字を書くためには、もっと練習する必要がありそうです。

 

 
 「式」もなるべく手本に似るように書いたつもりですが、一画目の傾きが違いました。

 一画目に入筆する時が、肝心だと思い知らされる結果の文字です。

 

 
 この文字も一見上手くバランスが取れたように思いましたが、文字の途中で気持ちが途切れたように思います。

 しかし、それが感じ取れるようになったのは、成長でしょう。
 

   

 一口メモ 

 「書道技法講座〈楷書〉九成宮醴泉銘」(余雪曼著)が、「結体三十六法」と「結構八十四法」を基に九成宮碑文の特殊な結構を参酌して四十四に書き表したものを紹介します。
 今回は、その15回目です。
 【ここで書いてある文字は、九成宮醴泉銘を私が臨書したものです。赤い線は。『書道技法講座〈楷書〉九成宮醴泉銘』を参考に入れています。】
  
(31) 屈脚法
 古くは「獅口」と言ったそうですが、中国語の事だと思います。「焉」は普段は使わない漢字ですが、「いずくんぞ」と読めば、聞いたことがある言葉です。この文字は楷書ではなく書写体ですので、少し違います。通常使う漢字であれば、「馬」などを例にあげた方が分かりやすいでしょう。この赤い点線で示したように、曲がりからのはねは、四つの点の最後の三つ目を指すようにして、最後の二つの点を囲みます。

 

 

(32) 垂曳法
 説明では『脚を垂れ、尾をひいている字は、すこし縮みぎみにする。だらしなく長すぎてはいけない。』と書かれています。

 私には、だらしないようには見えませんが、十分長く書かれているように見えます。主観の問題かとも思います。

 芸術として書道をしている人の文字は、やたらと長く書かれているものもあります。

【参考文献】
・青山杉雨・村上三島(1976-1978)『入門毎日書道講座1』毎日書道講座刊行委員会.
・高塚竹堂(1967-1982)『書道三体字典』株式会社野ばら社.
・関根薫園(1998)『はじめての書道楷書』株式会社岩崎芸術社.
・江守賢治(1995-2016)『硬筆毛筆書写検定 理論問題のすべて』株師会社日本習字普及協会.
江守賢治(1981-1990)『常用漢字など二千五百字、楷行草総覧』日本放送出版協会.
・江守賢治(2000)『楷行草筆順・字体字典』株式会社三省堂.
・余雪曼(1968-1990)『書道技法講座〈楷書〉九成宮醴泉銘』株式会社二玄社.
・續木湖山(1970)『毛筆書写事典』教育出版株式会社.