このブログのタイトルに「お習字」と書きましたが、現在は「書写」と呼ばれているようです。
これまで、「ひらがな」について色々知識を得ましたが、やはり「お習字」と言うと、「漢字」を想起させます。
ボールペンなどで、筆記用具を使って文章を書く場合はあるとおもいますが、現在では毛筆を使う事は、滅多にない事だと思います。余程かしこまって巻紙に認める場合はあるかもしれませんが、一般的には、冠婚葬祭に出席した際、受付で名前を書く事か、祝儀袋、不祝儀袋に書く事ぐらいしか思い当たりません。
書道人口が激減する中、斜陽産業とまで言われているのですが、私から言うと、「書道」も「空手道」も産業ではありません。「書道」の場合は、伝達記号から生まれた、漢字圏独特の文化であり、継承していく事が大切なものだと思っています。
「空手道」も同様です。闘技から「道」と言う精神を向上させる手段として、今後も継承していくべき文化だと思っています。
文化的な遺産を消滅させることは、簡単な事です。しかし歴史の風雪に耐えて残って来た文化を、使わないからと簡単に捨てるのも、愚かな考えだと思います。
理屈はこの辺にして、「漢字」の書き方について、私が通信教育で東京書道教育会の普通科師範を取得した方法を、書いて行きたいと思います。
あくまでも、東京書道教育会が設定した課題を、どう言った方法で、クリアーして来たかが、このブログの主旨で、教材を作る気持ちはさらさらありませんし、普通科師範を取得したとは言え、そんな資格もないと思っています。
東京書道教育会の通信教育に入会して最初にした事は、道具をそろえる事でした。
とりあえず、東京書道教育会から送られてきた物は、硯箱(プラスチック)と硯、普通の筆と小筆、筆置き(プラスチック)、半紙など、一応の道具は揃っていました。
私が買い足したのは、半紙1000枚(香風)と墨液1ダース。もともと筆は何種類か持っていましたが、免状を書くための小筆ばかりです。
それでも、第一回目の課題は、現在持っている物で何とか提出しました。
級は3段階に分かれていて、十級から始まるのですが、十級の下、十級、十級の上と言った具合です。五級の下まで合格すると、中級になります。そして一級の下まで合格すると、上級へと上がります。上級になると段位の取得ができます。
ここでは、通信教育の内容を説明するブログではありませんので、この辺で置きましょう。
今日は、私が初めに苦労した、起筆(始筆)についての話です。これは漢字? と思われたと思います。「カタカナ」は、殆ど漢字の点画で成り立っていますので、通信教育でも、「カタカナ」を取り上げたのだと思っています。
文字は、全体の形も大切なのですが、起筆・送筆・終筆の形がなければ、画竜点睛を欠くとでもいうのでしょうか、非常に文字にとって重要な要素を持っていると思っています。
ここでは、その内、起筆でも縦画の起筆について、研究して見ましょう。
毛筆で「ボ」の字は、東京書道教育会の初級コースの課題で、「ボールペン・バイオリン・サッカー」と、半紙に三列に書く課題です。その「ボ」の文字を抜き出しました。
私は、この赤い線で書かれた円の中にある、縦線の起筆がうまく書けず、半紙500枚を使ってしまいました。この文字は、その結果です。
ちなみに、次の図は、書道界では有名な人たちの色々な縦画の起筆をトレースしたものです。
左端のものが似ていますが、他の起筆は、全くと言っていいほど違います。習い事というものは、まず真似る事が大切であることは、何度も言っていますが、私も「書写」では初心者ですから、手本をよく見て、その通りに書けるよう努力をしました。
どの本を見ても、丁寧には説明がしてあります。しかし、この筆遣いは、「点を打って、下に」とか「筆をついて下に」などの説明では、要領を得ません。文章の表現は、書けるようになると、なるほどと腑に落ちるのですが、出来ない内は、なんとも理解に苦しみます。言われている内容が理解できない場合もありますし、まだ見えないのだと思います。
ですから、私が得た感覚も文章にしたところで、なかなかうまく表現できるとは思えません。
ちょっと違う観点から、起筆の書き方を表現して見たいと思います。
やっぱり伝わりにくいかも知れません。それでも、筆の背と腹は一般的に言われていますが、それに左面と右面を加えて、今後説明する事にします。
基本的には、初めに筆を紙面に付けた状態から、筆の軸を回転しないようにしています。これも、書道の団体により色々な方法がある事は、すでに書いています。
私は、軸を回さない方法で書いているという事で理解してください。
しかし、全く回転させない分けでは無く、微妙に回転すると思ってください。
このあたりが、書道の難しいところであり、誤解を招くところでしょう。そして、歴史を経ても尚これが正しい筆使いと言えるものがないのも、人間が如何に可能性を秘めているか、そして個性豊かなものかという事かも知れません。
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【参考文献】
・青山杉雨・村上三島(1976-1978)『入門毎日書道講座1』毎日書道講座刊行委員会.
・高塚竹堂(1967-1982)『書道三体字典』株式会社野ばら社.
・関根薫園(1998)『はじめての書道楷書』株式会社岩崎芸術社.