中学校で習う漢字三体字典 Part216

 中学校の三年間で習う、1110文字の内の5つの漢字を書いています。漢字は2020年度施行の学習指導要領に対応しています。

 表示は左端が対象漢字、続いてカタカナは音読み、平仮名は訓読み、画数、部首の順です。そして、ことわざ・故事・文章などから一つを選んでその漢字の使われ方を示す事にしました。

 ちなみに、文部科学省では学年ごとに習う漢字は、1学年250字程度から300字程度、2学年300字程度から350字程度、3学年では、その他の常用漢字(小学校で習う漢字1026文字以外の常用漢字1110文字の大体)と学年ごとに決まっていないようです。

1076. [][ルイ][画数:11画][部首:糸]

『危うきことるいらんの如し』

 出典が「史記」と言う事ですから、当時の玉子は、どのような積み重ね方をしたのでしょう。
 今では、卵用のケースがありますから、積み重ねてもそんなに不安定ではありません。
 しかし、コロンブスの卵ではないので、一部を割るような事はしなかったと思います。
 と、言う事は、不安定な事の例に持ち出すのも如何なものでしょう。
 卵を積み重ねて極めて不安定であるとか、危険な状態に例えるのも、ちょっと現実味が無さすぎるような気がします。
 想像は出来ないのですが、卵を積み重ねられたとしたら、やはり、直ぐに崩れるような気がします。
 そんな状態の事を、このような言葉で表したのでしょう。

楷書 行書 草書

1077. [][ルイ][画数:12画][部首:土]

『堅塞固

 日本の城の中でも、大阪城は、大坂冬の陣では、徳川20万の軍をして、落とせなかった事で、やはりこの四字熟語に匹敵するのでしょう。
 次に小田原城や上田城が有名ですが、加藤清正の熊本城は、最大震度7を観測した熊本地震にも、加藤清正が建てた部分だけは、甚大な損害は無かったと言われています。本当に堅塞固塁に相応しいと思います。
 しかし、良いのか悪いのか問題ですが、武器の破壊力は比べ物にならない位になりました。
 いわゆる堅塞固塁の名にふさわしい要塞は、現在では脆くなったと思います。

楷書 行書 草書

1078. [][レイ][はげ-む][はげ-ます][画数:7画][部首:力]

『奮努力』

 「俺がいたんじゃ お嫁にゃ行けぬ わかっちゃいるんだ 妹よ いつかおまえの よろこぶような 偉い兄貴に なりたくて 奮闘努力の 甲斐も無く 今日も涙の 今日も涙の 日が落ちる 日が落ちる」渥美清さん演じる「フーテンの寅」でお馴染みの「男はつらいよ」です。
 この歌詞の一部に「奮闘努力」と言うのがありますが、「奮励努力」は聞くのが初めてです。
 ほんの少しニュアンスが違うようですが、どちらも出せる力を、思う存分出し切る事に違いは無いようです。

楷書 行書 草書

1079. [][レイ][もど-す][もど-る][画数:7画][部首:戶]

『傘と提灯はらぬつもりで貸せ』

 今でも傘は戻らないかも知れません。と言うか、電車の中に置き忘れた物、と言えば傘のような気がします。
 しかし、これも傘ではなく、一番は衣類だそうです。衣類と言っても、マフラーや手袋で、着ている物を忘れるのではありません。
 私は、お金も貸すよりも、あげてしまった方が精神的にも良いような気がしています。貸すと、返してもらうのが気になりますし、借りた方は、返すのに苦労すると思います。
 私が貸して返ってこないのは、傘よりも書籍の方に分があるような気がしています。
 もちろん、今では提灯を貸す人、いないと思います。

楷書 行書 草書

1080. [][レイ][リン][すず][画数:13画][部首:金]

『猫の首に

 これは、ネズミが危険防止のために、猫の首に鈴を付けようとした話です。これ、イソップ物語が話の発端ですが、どのネズミも結局は実行できなかったようです。
 人間社会でも、似たような事で、この言葉を使う時があります。
 組織の中で言えば、権力者の横暴を事前に察知するために色々計画しても、実際に実行する者がいない場合が挙げられます。
 テレビドラマでは、絶対零度~未然犯罪潜入捜査と言うのがありました。このドラマのように犯罪を犯す前にターゲットを見付けられたら、打つ手はあるでしょうね。

楷書 行書 草書
覚 書

 現在中学生編として、2020年度施行の学習指導要領に対応した漢字を、楷書・行書・草書と三体の文字を毛筆で書いていますが、初めに部首と書いていますが、通常呼ばれている読み方ではないと思われたと思います。

 そこで、一般ではどんな読み方をされているのか一覧にしてみました。

 今回は、中学校三年間で習う文字の1076.~1080.の部首を取り上げていますが、日本では部首の正式な名称は決まってないようです。辞書によって統一されていないのが現状です。

部首 部首名称 (読み方) 部首通称

  1. 【累】糸部(べきぶ)・いと・いとへん
  2. 【塁】土部(どぶ)・つち・つちへん
  3. 【励】力部(りょくぶ)・ちから
  4. 【戻】戸部(こぶ)・と・とかんむり・とだれ・とびらのと
  5. 【鈴】金部(きんぶ)・かね・かねへん

 ・・・・つづく。