今日の一文字は『趣向』です。今日読んで見ようと思う、『徒然草 第五十四段』を読んで見て、感じた文字です。
原文
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趣向
昨日は、あまりにも筆が割れるので、清水の舞台から飛び降りる気持ちで、筆を購入する為、梅田に行きました。
と、言うより、孫の誕生日のお祝いを買うためですけど。ついでに。
で、妻に、出かける時に、絶対今日は筆を買うように言って。と念を押しておきました。と言うのは、私は優柔不断で、何かを買いに行っても、まず一回目で購入して帰ることはないのです。
例えばセーターが欲しいと思ったとします。そして買いに行きますが、別にその商品が気に入らない分けではないのですが、何か、無くても良いか、とか、もったいない、とか、ぐずぐずして、決断できないで帰って来るのです。
昨日は、絶対に筆を買って帰ると決心して、家を出る事にしたのです。
インターネットで投稿者のコメントを見ると、筆が割れないようにするには、どうすれば良いか、と言う質問に対する回答が、一般的な答えなのですが、よく洗う事でした。
しかし、その後、回答者が「数万円するものであれば、割れませんよ。」と、いとも簡単に言われているのを見て、質問者が、「私が使っているのは、高い筆だと思っていましたが、5,000円でした。学生ですから高価なものは手が出ません」と言うような内容でした。
で、私はと言うと、持っているのは、多分40年位前に購入した筆が3本と、義理の姉が商品として売っていた物を、店をたたむからと、持ってきてくれた筆が6本ほどで、文房具屋さんですから、高いと言っても学生相手ですから、一番高い物でも、値札を見ると8,000円でした。
貰った時には、随分高価だと思っていました。
全部試して見ましたが、やっぱり割れてしまいます。どうも、インターネットで調べると、筆にも寿命があるようです。
さて、梅田の丹青堂、この店は江戸時代から商いが始まり、明治になってから現在の屋号にしたという、由緒のあるお店で、ここで聞けば良い筆が買えると思いました。心斎橋が本店で、ここにも立ち寄った事があります。その時は、小筆を購入したのですが、それがもう40年も前の事です。価格は2,000円と、まだ値札が付いたまま使っています。
ようやく、丹青道について、筆が割れる事を説明して、半切に和歌を書くのに適した筆を選んでもらいました。名前が「良寛」と書いてあるものを薦められ、説明が上手いお爺さん・・・、いや私より若いかも知れませんが、その筆を買う事にしました。15,660円・・・。
その時に、筆の洗い方も教えてもらいました。インターネットの情報とは、全く違い、余り洗いすぎない方が良いとの事でした。
これで、今持っている筆が、割れるようになったのかも知れません。
帰ってから、筆を注意深く下ろし、書いて見ました。
初めの3枚位は、失敗です。やっぱり筆が割れるのです。自分の書き方が悪いと思い、また4枚目を書きました。すると、筆が割れなくなってきました。
気を良くして、10枚位書き、書き始めてから3時間位経ってから、ようやく、一応仕上げる事ができました。後は、添削がどうなるかですが、人事を尽くして天命を待ちましょう。
今朝、投函してきました。
さぁ、今日も一日元気で過ごしましょう。
徒然草 第五十四段 〔原文〕
御室に、いみじき兒のありけるを、いかで誘ひ出して遊ばむと企む法師どもありて、能あるあそび法師どもなど語らひて、風流の破籠やうのもの、ねんごろに營み出でて、箱風情のものに認め入れて、雙の岡の便りよき所に埋み置きて、紅葉ちらしかけなど、思ひよらぬさまにして、御所へまゐりて、兒をそゝのかし出でにけり。
うれしく思ひて、こゝかしこ遊びめぐりて、ありつる苔の筵に竝みゐて、「いたうこそ困じにたれ。あはれ紅葉を燒かむ人もがな。験あらん僧たち、いのり試みられよ」などいひしろひて、埋みつる木のもとに向きて、數珠おしすり、印ことごとしく結びいでなどして、いらなくふるまひて、木の葉をかきのけたれど、つやつや物も見えず。所の違ひたるにやとて、掘らぬ所もなく山をあされども無かりけり。埋みけるを人の見おきて、御所へ參りたる間に盜めるなりけり。法師ども言の葉なくて、聞きにくくいさかひ腹だちて歸りにけり。
あまりに興あらむとすることは、必ずあいなきものなり。