空手道における型について【15】
鉄騎二段 13~28

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 文章の青字で記述したものは、現在、日本空手道髓心会で行っている方法です。しかし、これも全日本空手道連盟の指定の方法がありますので、これに従って練習しているのが実情です。これについては、記述していません。
 なお、緑字で記述したものは、原点に戻した方が合理的と思われるところです。

 昭和10年当時まだ立ち方、受け方、突き方の名称が定まっていなかったと思われる記述があります。この場合も現在の方法として、青字で書く事にします。現代文にしても意味が分かりにくい部分については、赤字で追記するようにしています。同じく、写真(『空手道教範』にある)を参照の部分については、赤字文章で分かるように追記しています。『空手道教範』に掲載の写真は著作権の関係もあると思いますので、載せていません。
〔ページを遡る煩わしさを避けるため、説明部分は、前回までと重複して記載しています。

 

鉄騎二段
てっきにだん
-13~28

 今回は、鉄騎二段の後半です。前半部分は、 鉄騎二段前半を参照してください。

13.下体そのまま、(13)のように上体元に復すると共に顔は右に向け、同時に右手を開いて中段受け、左拳を腰にとる。
(注)右方よりの中段攻撃の拳を、右手にてつかむ心持、手は肩の高さ。

14.そのままの姿勢を崩さず、右手を握りながら腰に(甲向下)左拳を胸の前に水平(甲上向)に構える。
(注)右手にて相手の手首を掴んで捻じり上げながら腰に引込む心持。

15.上体及び右足そのまま、左足を軽く右足を越えて交叉する。

16.左足そのまま、右足大きく右へ一歩踏出す(騎馬立)と同時に、顔は前方を向き、左手(甲下向)を起して前方中段受け、右拳腰にとったまま、(騎馬立初段(26)参照。
『騎馬立初段と言うのは、このブログでは鉄騎初段と改称しています。』
『髓心会では、ここでは右足の踏み込みをしています。』
『原点の文章表現では、踏み込む所と同じ表現ですが、船越義珍師の映像では、鉄騎二段で大きく足を上げている所は、(11)と逆の動作の(21)だけと思われます。原点に戻すべきか検討中です。』

17.姿勢はそのまま、左拳は右肩前より下へ、右拳は左肘外より上へ、互に引張るように受ける(左下段受、右中段受)をすると直ぐに(次項に続く)

18.右拳を右肩上に振上げながら(手甲後)裏拳にて前方上段に打込むのと同時に、左拳(手甲上)の手首が右肘下に接する位に、左手を胸部の前水平に構える。
(注)(17)(18)は一挙動で行う。騎馬立初段(27)(28)(29)と同じ。
『騎馬立初段と言うのは、このブログでは鉄騎初段と改称しています。』

19.両足そのまま、顔を左に向けると共に、右手を開いて(甲右向)右腰に引き、左拳を右掌に当てる(9)の反対。
『髓心会では、次の動作の前に着眼を左に向けるようにしています。したがって、両手を右腰に引いた時には、前方を見ています。』

20.姿勢そのまま、左拳にて左方中段受け(甲下向)すると同時に、右掌は左手首に添える。10.の反対、(10)を見よ。
(注)左右の手が離れないよう動作せよ。

21.右足そのまま、顔を前に向けると同時に、左膝を高くあげ、左脇腹に両手を流すように左拳を腰に(甲下)右掌をこれに当てる。(4)の反対姿勢。
『髓心会では、ここでは「左膝を高くあげ」と明確な指示がありますので、右足の踏み込みをしています。』
『原点の文章表現では、踏み込む所と同じ表現ですが、船越義珍師の映像では、鉄騎二段で大きく足を上げている所は、この(21)と(11)だけと思われます。原点に戻すべきか検討中です。』

22.左足を元の位置に強く踏込むと同時に(騎馬立)上体を右へ捻じって左肘を突出す。左拳の甲は上向、右掌これに当てたまま。(5)の反対姿勢。
(注)(11)(12)の反対動作、注意要領も同じ実際は(21)(22)を一挙動とせよ。

23.下体そのまま、上体元に戻すと共に、顔を左方に向け、同時に左手を開いて中段受け(甲を上)、右拳腰。(6)の反対。
『この左手を開いて中段受けの部分は、掛手と解釈しています。』

24.そのままの姿勢を崩さず、左手を握りながら腰に引きつける(甲は下)と同時に、右手(拳のまゝ甲は上)胸の前に水平に構える(14)の反対、騎馬立初段(6)参照。
『騎馬立初段と言う名称は、このブログでは鉄騎初段と改称しています。』

25.上体及び左足そのまま、右足軽く左足を越して交叉する。

26.右足そのまま、左足大きく左へ一歩踏込むと同時に、顔は前方に向け、右手を起して前方中段受け(甲下)をなす。左拳腰に取ったまま。 騎馬立初段(鉄騎初段前半)の(8)(9)(10)(11)参照。
『文章では踏み込むという言葉になっていますが、船越義珍師の昔の映像では、この部分は踏み込んではいません。』
『髓心会では膝を高くあげて踏み込んでいます。』
『踏み込む必要性は見当たりませんので、元に戻す方が良いと考えます。』

27.姿勢そのまま、右拳は左肩前より下方へ、左拳は右肘外より上方へ、互に引張るように受ける(右下段受、左中段受)と直ぐに、(次項に続く)

28.左拳を左肩上に振上げざま(手甲後向)裏拳にて前方上段に打込むと同時に、右拳(手甲上)の手首が左肘に接する位に、右手を胸部の前に水平に構える。
(注)(17)(18)と反対動作で実際は(27)(28)を一挙動として敏速にする。詳しい事は、騎馬立初段(9)(10)(11)を参照。

(直れ)以上で完了したので、直れの号令と共に、左足を引いてゆっくりと用意の姿勢に復する。

演武線ではイメージが湧きにくいと思いますので、実際の足跡をたどってみました。ここでは、黒の塗りつぶしの足形と黒枠の足形が後半になります。
 次回は、鉄騎三段前半を掲載します。

【参考文献】
・富名腰義珍(1930)『空手道教範』 廣文堂書店.
・富名腰義珍(1922-1994)『琉球拳法 唐手 復刻版』 緑林堂書店.
・Gichin Funakoshi translated by Tsutomu Ohshima『KARATE-Do KyoHAN』KODANSHA INTERNATIONAL.
・道原伸司(1976)『図解コーチ 空手道』成美堂出版.
・道原伸司(1979-1988)『空手道教室』株式会社大修館書店.
・田村正隆他(1977)『空手道入門』株式会社ナツメ社.
・杉山尚次郎(1984-1989)『松濤館廿五の形』東海堂.
・中山正敏(1989)『ベスト空手5 平安・鉄騎』株式会社ベースボール・マガジン社.
・内藤武宣(1974)『精説空手道秘要』株式会社東京書店.
・金澤弘和(1981)『空手 型全集(上)』株式会社池田書店.
・金澤弘和(1977)『新・空手道』株式会社日東書院.
・笠尾恭二・須井詔康(1975)『連続写真による空手道入門』株式会社ナツメ社.

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