お習字から書道へ Section 4

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 コツコツ食べてますか? いや、書いていますか?

 一日5文字を習慣にすると知らない内に、自分ではそう思わなくても、人から「字うまいね」と言われるようになりますよ。身に付いたことは、一生の宝になります。

 私は、コツコツ食べています。妻が高血圧なので、ポリフェノールが有効と言うので、カカオ72%の物を購入しています。初めは95%の物と両方買ったのですが、口に合わないそうです。で、今は72%にしています。  

 ちょっと、横道にそれてしまいました。話を元に戻しましょう。

 冒頭に5文字と書きましたが、1文字でも良いのです。とにかく筆記用具を持つ習慣を付ける事です。

 最近は一日の内に、ボールペンすら持たない日があるのではないでしょうか。老化防止のためにも、指先は動かす必要がありそうです。

 前回に書きました、「 上達ポイント(Section 3)」のような方法で書くと、1文字書くのも時間がかかります。と言っても数分ですが。その数分が積もり積もって自分の文字になって行きます。頑張りましょう。

 鷹見芝香たかみしこう  

 文部省高中学校書道学習指導要綱編集委員(硬筆習字)。
 全日本書道教育協会総務。
 東京都中学校書道研究会副会長。
 日本書作院同人。
 東京都立豊島高等学校講師。
出典:ペン字いんすとーる(http://cumacuma.jp/review/review_index/pen_life/)

 

 さて、今日は「さしすせそ」に取り掛かりましょう。

「さ」と言う文字の特徴は、縦長です。1画目の書き始めに注意します。縦長の枠(ここでは赤い点線の枠です)を想像して、その枠を縦に四分の一に分割した一番上の部分から中心線を通って斜め上に線を書きます。二画目は中心線の左から真直ぐ線を引いて一画目と交わってから斜め右に線を引きます。この線は四分割の上から二番目の真ん中あたりで止めます。ただ止めるのではなく、三画目に繋がる余韻を残して次に繋げます。そして、四分割の一番下に上の部分を支えるように二画目の最後の斜め線と対応するように書くと、バランスが取れます。

「し」の特徴は縦長の長方形に書くようにします。
 何の変哲もないように見えますが、これが結構形が取りにくいと感じます。
 一画目は、中心線に向かって少し点を書きます。中心線で跳ね返されるように、下に少し、ほんの少しだけ丸みを帯びた縦の線を書きます。最後は水平に近い円で、上に大きく跳ね上げないように書くと、「し」の出来上がりです。

「す」は難しい文字ですね、なんとも格好が取りにくい文字です。赤の点線の菱形の中に、それぞれの部分の末端が収まるように書くと上手く行きます。
 字の書き始めは横線ですが、四角の枠の半分より少し上から書き始めて、ほぼ水平に線を書きます。この時、右に下がってはだめですが、上がり過ぎてもいけません。気持ち右上がりにする事がポイントです。
 二画目は中心線に接する程度右側から真直ぐに縦に引きますが、これもやや中央線より右側に丸みをつけて四角の枠を四分割した一番下の枠まで下します。そこで結びと言うのですが、上に左回りに円を描きます。この円の形は図を見て覚えてください。この形は手本により様々ですが、折れ曲がって左に円を書くのですが、この時、下がらない事がポイントです。上に向かって丸みをつけて行きましょう。結びが重なる位置もポイントの一つです。この図は極端に書きましたが、縦の線が左に曲がる部分で重ねるつもりで結ぶと良いと思います。後は一画目と二画目の交わりは、左側が右側より長くなります。ですから二画目は中心線より右側になるのです。

「せ」は、赤い点線の枠を想像して書くようにしましょう。文字自体は他の文字より小さめに書くと調和がとれます。
 ポイントは、一画目は右斜め上に引き、二画目との交わる位置は、三画目と一画目が交わる位置より、右側にでる線の長さが短くなります。
 三画目は、やはり上の部分を支えるように、徐々に丸みを付けますが、丸くなりすぎても良くありません。一番最後の部分が水平線より上に出ない事がポイントです。

「そ」は、縦長の赤の点線で書いた枠の中に書きますが、文字を勝手に分解してカタカナの「ソ」とひらがなの「て」に分けると、図のように「ソ」の方が「て」より縦の長さが短くするのがポイントです。「て」のふくらみが中心線に添うように書くと上の「ソ」を上手く支える事ができます。

 
 上達ポイント  

 文字を上手く書くためには、色々な人が様々な工夫をしたと、思います。自分の方法を見つける事が一番ですが、私は、手本を見て書いても、どうも手本通りに書けない時があります。そんな時にする方法を、公開しましょう。ナイショですよ。 勘の良い人は、もうお解りですよね。位置を知る事でその文字のどの部分がどこにあるのかを知る事ができます。

 方法は、まず手本になる文字を、トレーシングペーパーで写します。今は家にプリンターを持っている人であれば、コピーでもかまいません。

 次にこの文字に上のような赤枠を引きます。文字が丁度真ん中になる位です。後はその赤枠に図のような均等の線を入れます。トレーシングペーパーではなく、薄口の方眼紙(グラフ用紙)で手本を写せば、手間が省けます。

 そこで、縦と横に図のように行と列が分かる文字を書きます。

 後は、Eの4からJの2までの間のポイントとなる所、例えばG4で一画目と二画目が交わる事が、目で確認できます。よく見ると、同じEの4でもその枠内のどのあたりに線があるかも知る事ができます。

 ここで、もうワンポイントアドバイス。

 常にこんな手間な事はしていられません。手間な上に、こればかりしていては、練習できません。沢山書く事が美しい文字を書く秘訣ですから。
 
 それでも、空手でも「ものには仕方がある」と書きましたが、何でもそのやり方によって、得られるものに、雲泥の差がでるのです。
 亀の甲より年の劫と言うではありませんか。年寄りの言う事に、耳を傾けましょう。

 この図を作るのは、どうしても手本通りに書けない時に、やって見てください。また、見る事で細部まで見通せない時には、良い方法です。意外と見ているようで、見ることができないのが、人間の目なのです。空手と全く同じです。 

 どうしても、手本通りに書けないと思ったら、進歩していると思っても良いのです。見る目が付いて来た証拠です。違いが分かる人になりましょう。

 人が間違いだと思うのは、気付きではありません。逆に世間知らずか、後退です。自分が間違いだと思えれば、それはもう、大きな進歩です。

 

 一口メモ  

 今回も『ペン習字』(鷹見芝香たかみしこう著)に書かれてある文章を引用してみます。

 『一般の人でもそれとなくその基準を感じとることはできますから、自分の文字をそれに照合して考えるわけです。その結果、自分の文字がその基準以下であれば、なんとかしてその基準に到達するよう対策を立てねばなりません。
 それには、よい手本を見て習うこと、品位の高い文字をたくさん鑑賞すること、そしていつもいつも、じょうずに書こうと心がけて努力すること。この三つを実行することが第一歩です。』

 ここでも、自分の腕前がどの程度なのか、知る事が大切であると書いてあります。前に書いていますが、孫子の兵法「彼を知り己を知れば百戦殆からず。」で知られる「己を知れば」にあたります。まず、自分がどの程度なのかを知らなければ、目標が立てられません。

 私などは、自分がどの程度なのか判断できないので、東京書道教育会にその判断を委ねて、今回ようやく普通科師範と言う評価をしてもらいました。

 この過程で、色々な手本をみたり、臨書の手本を見る機会を得ました。これが、良い手本を見て習うことや、品位の高い文字を鑑賞することに当たるのだと思います。

 第一歩と書いてありますから、二歩三歩と歩みを重ねたいと思います。 

【参考文献】
鷹見芝香たかみしこう(1966)『ペン習字』 株式会社主婦の友社.

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