文武両道のために・・・・『徒然草』を読んで見る。【166】

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 今日の文字は『立身りっしん』です。ここでは、出世と言う意味で書きました。書体は行書です。今日読んで見ようと思う、『徒然草 第百六十五段』を読んで見て、感じた文字です。

原文 現代文を見る 立身

 
☆カナダの一番弟子からメールを貰いました。
 
 今朝メールが届きました。一番弟子と言っても彼とは同い年です。そして、私よりも大分頭もよく、大学を幾つもでているような人で、日本の文化も精通している人です。

 そのメールの題名は『新年明けましておめでとうございます』でした。

 ただ、縁があって、ニュージーランドのMr.スミス(彼も致道館で一緒でした)の弟子で、日本に来ると言う事で、故佐々木武先生(私の恩師)が私の所で稽古するように紹介を受けて大阪に来てからの長い付き合いです。

 昨年スイスの中島宏さん(彼も同じ致道館の人です)の所に行き稽古したとメールにありました。

 仕事も経営者として頑張っている模様でした。来年には来日する予定と書いてありました。会うのが楽しみです。

 さぁ、今日も一日元気で過ごしましょう。

 
徒然草 第百六十五段 〔原文〕

 東の人の、都の人に交はり、都の人の、東に行きて身をたて、また、本寺・本山をはなれぬる顯密の僧、すべてわが俗にあらずして人に交れる、見ぐるし。

 

 
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『現代文』

『関東の人が都の人に交わったり、都の人が関東に行って身を立てたり、又、本寺・本山を離れた顕教・密教各宗派の僧など、すべて自分の生活圏から離れて人と交わるのは見苦しい。』

 

 

『立身』

 現在は、世界が広がり、関西とか関東とか言っている場合ではないとは思います。

 一極集中と言われるように、東京には色々なビジネスチャンスがあります。アメリカンドリームほどではないにしろ、やはり日本の中では、東京ドリームがあるのではないでしょうか。

 それでも、文化と言えばやはり京都・奈良に集中します。歴史ですね。

 都の人が経済的に出世したいと望むこと、同じように関東の人が文化に親しむために、都の人と交わる事まで、非難しているように思えます。

 兼好法師の考えでは、経済的に立身出世を望む事を良く思わないのは理解できるとして、なぜ、関東の人が都の人と交際することまで非難の対象とするのかは理解出来ません。

 それとも、文化は代々伝えられるもので、付け焼き刃では習得できないとでも言いたいのでしょうか。

 また、宗教などは閉鎖的になればなるほど階層に固執してしまい、そこから道を新たにしたい者が出ても不思議ではありません。特に日本に伝わった仏教はまだまだ真理と言えるものに成長していなかった時期だとも思えます。

 仏教に関して言えば部外者ですが、成長したのか衰退したのかも判断を付ける事ができないと思っています。平安初期から末法思想がありましたので、鎌倉時代にはもう仏教とは思えない状態であったと思います。

 ですから、当然まともに仏教に志す者がいたとしたら、その本寺、本山を離れても仕方のない事だと思います。

 ここで言われる『わが俗にあらずして人に交れる』には、自分が生まれ育った環境から外に目を向けるな、と言う事なのでしょうか。

 「井の中の蛙大海を知らず」と言う事にはならないのでしょうか。

 確かに「徒然草」では、吉田兼好の考えが正しく、他を排除するような書き方が目立ちます。余程の自信家と思えるところもあります。

 それぞれに立場も考えもあるのですから、それを『見苦し』と吐き捨てるような言い方は如何なものでしょう。

 そのような人との交流が現在を作っているでしょうし、鎌倉時代にもその前の時代があったのですから、時代の進み方は良い悪いではなく、人が人と接して、学び、そして時の経過と共に歴史が形作られていくのではないでしょうか。

 確かに、会社でも地域との繋がりを大切に、地域のため、地域に住む人の為に営々と努力している商店、あるいは企業もあるでしょう。

 しかし、大きな資本が投入され、一気にその商圏を席巻し、それまで地域の為に努力して来た人達が立ちいかなくなる場合も、多く見てきました。

 まさに弱肉強食の世界です。しかし、それが現実であり、その現実から目を逸らす事ができないのが人生です。

 他を批判している暇があれば、現実をしっかり見極めて、自分の人生を考えるべきだと思っています。

 「一寸先は闇」と言います。何が私たちを待っているのか分らないのが人生です。そして「諸行無常」、すべての事は変化の中にあると思います。

 今を直視する勇気を持つべきではないでしょうか。と、またまた批判的な物言いになってしまいました。これでは兼好法師の事をとやかく言っていられません。猛省。

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