中学校で習う漢字三体字典 Part176

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 中学校の三年間で習う、1110文字の内の5つの漢字を書いています。漢字は2020年度施行の学習指導要領に対応しています。

 表示は左端が対象漢字、続いてカタカナは音読み、平仮名は訓読み、画数、部首の順です。そして、ことわざ・故事・文章などから一つを選んでその漢字の使われ方を示す事にしました。

 ちなみに、文部科学省では学年ごとに習う漢字は、1学年250字程度から300字程度、2学年300字程度から350字程度、3学年では、その他の常用漢字(小学校で習う漢字1026文字以外の常用漢字1110文字の大体)と学年ごとに決まっていないようです。

876. [][ヒン][画数:15画][部首:貝]

『名は実の

 本来名声や名誉と言うものは、徳があってこそ称えられるものであると言う意味に捉えました。
 しかし、現実はなかなかそう行かないのが実情です。中身が伴わない名声や名誉が横行し、それを元に権力を欲しいままにしている輩が数多くいる事も実感しています。
 ここでは、徳と解釈しましたが、そのまま「実」でも良いかな、と思います。見かけは立派でもその実態がしっかりしていないと、人から尊敬されてはいけないと思うのですが。

楷書 行書 草書

877. [][ヒン][画数:17画][部首:頁]

いやしく』

 同じ読み方で「卑しく」や「賤しく」、あるいは「いやしくも」と色々ありますが、普通よく使うのは、今あげたような言い方だと思います。
 ちょっと古いかも知れませんが「苟も」は、かりに、とか万一にも、と使われる事もあるかと思います。
 しかし、この「弥頻いやしく」は、盛んになる様子を言ったもので、万葉集などに出てきます。
 「春之雨者 弥布落尓 梅花 未咲久 伊等若美可聞」読み方は「はるのあめは いやしきふるに うめのはな いまださかなく いとわかみかも」と万葉集の巻4の786番にあります。大伴家持の作と云われています。

楷書 行書 草書

878. [][ビン][画数:10画][部首:攴]

『訥言行』

 「機を見るに敏」と言う事でしょうか。「すぐれた人格を持っている人は、口数は少なく、動きは正確で素早いということ。」【出典:ことわざ辞典ONLINE.】。
 しかし、この漢字を見ますと、朴訥と言いますか、あまりしゃべる事が上手ではない人は、行動が素早いとも読めます。
 ですから、穿った見方をすれば、喋る事が下手な人は、すぐれた人格であると言っているように思えます。
 確かに過去を振り返って見ますと、朴訥とした人に人格者が多いと思った事はあります。
 だからと言って、弁舌爽やかな人が人間として悖るとは限りません。どちらかと言うと、私は言葉で人に伝えられる方を好む方です。それも一つの能力ですから、ただし人格とは違う尺度かも知れませんが。
 ちょっと、疑問が残る四字熟語でした。

楷書 行書 草書

879. [][ビン][画数:11画][部首:瓦]

『瀉

 この言葉は、何度も何度もこのブログで言っています。私が好きな言葉の一つです。
 と、同時になかなか難しい事でもあるのが、実情と言えるでしょう。
 どうしても、人間は自分と言うものがあります。長く生きていると、ますます知識や経験が積まれますので、確固たる信念ができると思います。
 ある意味では、それが人格とも言えますから、一概に悪い事ではないのですが、あまり固執してしまうと、能力に歯止めをかけてしまう事になってしまいます。
 ですから、人の言う事を聞く場合、あるいは人から教えてもらう場合、又、人ではなくその他の色々な事から学ぼうとした場合には、反って阻害要因になるのが、自分だと思っています。
 そこで必要なのが、「瀉瓶」と言う仏教を伝承する時の師から弟子へ奥義を伝える方法です。
 なにも、仏教だけではなく、何かを伝えられる時の方法だと思った方が解りやすいと思います。
 私はこの「瀉瓶」には、仕方があると思っています。それは、自分を無にすると言う事なのですが、私のような凡人にはなかなか、心を空っぽにして、受け入れる事は、至難の業と思っています。
 そこで、私は、受け皿になる瓶をもう一つ用意すれば良いんじゃないかと思う事にしました。
 一つには、自分のこれまでの経験や知識があふれんばかりに詰まった瓶です。そして用意したもう一つの瓶は空っぽの何も入っていない瓶だと想像します。
 そして、学ぼうとした時には、その空っぽの瓶の中に詰め込んでもらいます。しかし、これは想像の瓶ですから、ややもすると、本来の自分の考えや知識が詰まっている瓶とすり替わってしまいます。そこで必要なのが、阻害要因となる考え、気持ちが湧いてきたら、それは空っぽの瓶には必要ないと拒絶するようにします。場合によっては無視する事も、相手にしない事も役に立つ方法です。
 そして、空っぽの瓶に新しい考えや知識、あるいは学ぼうとする事が入ったら、ゆっくり時間を掛けて、横に置いて置いた瓶の中身と、比べて見るのです。
 場合によっては、前の物を残す場合もありますし、また新しく入れ替える事になるかも知れません。
 私はこれが修業だと思っています。

楷書 行書 草書

880. [][フ][画数:7画][部首:手]

成牆どふせいしょう

 「人々がお互いに力を合わせて物事を成し遂げることのたとえ。」【出典:四字熟語辞典ONLINE.】。
 今の日本は、余りにも自由と言う概念が国民に行き渡り過ぎたきらいがあるように思います。それは本来の自由とは、何か違うような気がするのですが、どちらかと言うと、自由と言うより、利己主義と言った方が良いような気もします。
 今世界を席巻しているコロナウイルスの感染症も、この言葉のように、自分の自由を制限して、互いに我慢する所はしっかりと我慢して、心を合わせて戦わないと、気が付いたら、別の生物に地球は取って変わっているかも知れません。
 自国優先も、自分優先も、経済優先も行き過ぎるとロクな事にはなりません。いま、もう一度足元を見つめ直す時期では無いのかと思います。
 この額は、昨年暮れに今年の為に書いた『照顧脚下』です。

楷書 行書 草書
覚 書

 現在中学生編として、2020年度施行の学習指導要領に対応した漢字を、楷書・行書・草書と三体の文字を毛筆で書いていますが、初めに部首と書いていますが、通常呼ばれている読み方ではないと思われたと思います。

 そこで、一般ではどんな読み方をされているのか一覧にしてみました。

 今回は、中学校三年間で習う文字の876.~880.の部首を取り上げていますが、日本では部首の正式な名称は決まってないようです。辞書によって統一されていないのが現状です。

部首 部首名称 (読み方) 部首通称

  1. 【賓】貝部(ばいぶ)・かい・かいへん・こがい
  2. 【頻】頁部(けつぶ)・おおがい
  3. 【敏】攴部(ぼくぶ)・ぼくづくり・ぼくにょう・のぶん・しぶん・とまた
  4. 【瓶】瓦部(がぶ)・かわら
  5. 【扶】手部(しゅぶ)・て・てへん

 ・・・・つづく。

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