中学校の三年間で習う、1110文字の内の5つの漢字を書いています。漢字は2020年度施行の学習指導要領に対応しています。
表示は左端が対象漢字、続いてカタカナは音読み、平仮名は訓読み、画数、部首の順です。そして、ことわざ・故事・文章などから一つを選んでその漢字の使われ方を示す事にしました。
ちなみに、文部科学省では学年ごとに習う漢字は、1学年250字程度から300字程度、2学年300字程度から350字程度、3学年では、その他の常用漢字(小学校で習う漢字1026文字以外の常用漢字1110文字の大体)と学年ごとに決まっていないようです。
886. [符][フ][画数:11画][部首:竹]
『符節を合するが如し』
「二つのものがぴったり合うことのたとえ。「符節」は、後日の証拠とするために、木や竹の札に文字などを書き中央に割り印を押して二つに割り、二人が一片ずつ持つようにしたもの。その符節を合わせたように一致するという意から。」【出典:ことわざ辞典ONLINE.】。
この現象は現在でも、印影や割り印などに見る事ができます。
日本の時代劇には、割り符と言うものがよく出てきます。これが辞書によりますと同じものだという事です。
この割り符が、現在の為替の元になったようです。鎌倉時代には、既に実用化が進んでいたと考えられます。
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887. [普][フ][画数:12画][部首:日]
『普遍妥当』
物事は変わって当たり前、もし変わらない物があるとすれば、生物の死だけだと思うのですが。
この言葉は、どんな物にも当てはまる条件や出来事だという事ですが、そんなものは存在しないと言えるのではないでしょうか。
人生において一寸先は闇と云いますし、諸行無常と云うではありませんか。
しかし、短い期間で言えば、この四字熟語のように、同じ出来事の場合、あるいは条件が整えば、前回と同じ方法で対処できるかも知れません。
「温故知新」もそんな経験を活かす言葉だと思います。
前回のやり方に固執するのも良くありませんが、まったく無視してしまうのも、智慧を溝に捨てるような物かも知れません。
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888. [腐][フ][くさ-る][くさ-れる][くさ-らす][画数:14画][部首:肉]
『豆腐で歯を痛める』
そんな事は考えられないのですが、私の父が、若い頃だと思うのですが、カステラを食べた時、前歯が全部取れた、と言ってました。理由も解りませんが、取れそうだったのでしょう。
この諺は、ありえない事の例えとして使うのでしようが、ありえない事が起こるのも世の中です。
油断していると、何が起こるか分かりません。常に気を付ける必要がありそうです。
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889. [敷][フ][し-く][画数:15画][部首:攴]
『千畳敷に寝ても畳一枚』
この諺、「起きて半畳寝て一畳天下とっても二合半」出自は不明ですが、私は徳川家康だと思っていました。そして、「起きて半畳寝て一畳たらふく食っても二合半」と覚えていた事は、前にもこのブログで記述した所です。
自分に応じた、あるいは適した物があれば、満足すれば良いと思います。余りにも人間の中には欲深い人が多いのかも知れません。困った生物です。
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890. [膚][フ][画数:15画][部首:肉]
『膚受之愬』
「痛切な訴えのこと。」または「気づくことなく垢がたまるように、少しずつ人を偽り、傷つけていくという意味でも使われる言葉。」【出典:四字熟語辞典ONLINE.】。
この二つの意味の関係性が理解できないのですが、同じ四字熟語辞典ONLINEにそんな説明がされていました。
そこで、この四字熟語の基になった「論語」を見る事にします。
この言葉は、論語284顔淵篇第十二(6)子張明を問う、と言う部分にありました。
【子張問明。子曰、「浸潤之譖、膚受之愬、不行焉、可謂明也已矣。浸潤之譖、膚受之愬、不行焉、可謂遠也已矣。」】、これは原文なので、書き下し文を載せましょう。「子張明を問ふ。子曰く、浸潤之譖、膚受之愬、行はざり焉らば、明と謂ふ可き已矣。浸潤之譖、膚受之愬、行はれざらば、遠しと謂ふ可き也る已矣。」
これを現代文に意訳すると、【子張が明を問うた。先生が仰った。「ゆっくりと浸み込む誹りも、実際に身に沁みる事がなければ、明と言えるだろう。ゆっくりと浸み込む誹りも、実際に身に沁みる事がなければ、関係ないと言えるだろう。」】要するに、色々な雑音に惑わされない事が正しい判断を下せる。そんな意味だと思います。
ですから、この四字熟語をもって、何かの戒めになる事はなく、この四字熟語にあるような事で、直ぐに心を動かすのは良くないという意味で、捉えた方が良いと思いました。
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