突きのスピードを上げる

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  【自分の限界のスピードを極める】  

 武道の空手道でも、武術としての空手術でも、競技としての空手でも、自分の限界の速さに魅力を感じない者は、いないと思います。

 相手のある事ですから、間合いや間、起こり、居つきなど、様々な要素があって、どれもこれも、身に付けるのに時間と弛まぬ努力が必要であることは、承知の事と思います。それでも、基礎になるものは、体力でありスピードであると、感じたことでしょう。

 最近は、パワーや持久力に対しての、科学的な研究は随分進み、昔の事を考えると、目を見張るものがあります。
 確かに、パワーが、走る速度に大いに関係する事は、100m走の選手を見ると頷けますが、突きの速さと、大きな力(パワー)とは関係あるのでしょうか。一般的に瞬発力は、力と言われています。これは、筋力トレーニングの世界で、いかに重いものを瞬時に上げる事ができるかを目的にしています。

 さて、空手やボクシング、キックボクシングなど、打撃系と呼ばれる突きの速さに、重量挙げのような力は必要なのでしょうか。

 私は、若い頃、身長は166cm、体重は62kg、胸囲100cm、腹囲72cmでした。年齢からすると、平均的な数字です。しかし、身長が大きく体重が重い人と対戦するために、どうしても相手よりも早さが必要になります。その頃は科学的にものを考えるより、兎に角、鍛錬、練習、稽古。一日8時間以上体を動かしていました。道場から帰っても、興奮した状態で眠れず、また外にでて体を動かすと言った生活が続きました。ただ、それほどの若さと言う、体力があったに過ぎません。強くなるためには、我武者羅に練習する以外、脳が無かったという事です。

 蹴りについては、スキーに行って帰ってくると、随分早くパワフルになったような記憶があります。私はリフトに乗らず、登っては滑り、登っては滑り、一緒に行った友人が、少しは休んだら、と言うほどの一日を過ごしていました。このような経験から、下半身については筋の持久力と筋力が大きく関係するという事を体感しています。

 突きについては、どうでしょう。初動、いわゆる始動のための要員は、前回までの、 逆突き 順突きに見られるような、エネルギーの流れ方がスムーズである必要性があります。しかしそのエネルギーを加速度的に大きくしていく方法はなんでしょうか。

 私は、若いころに、坂道の下りに向かって、追い突きの練習を随分した覚えがあります。
 坂道を駆け上がる、階段を駆け上がるなどは、蹴りには効果があっても、突き本来の速さを増す効果は、期待できないと思っています。もちろん、体幹を鍛えるという事では、スピードを出した時の軸として必要である事も解っています。
 よく、自転車のゴムチューブを使って、それを突きによって伸ばす練習を見ます。それも、疲れてゴムチューブを伸ばせないほど、練習しています。これは、若い体力が可能にしているだけであり、速さを追及するためには、効果的とは思えないのです。

 では、一体、突きの速さはどういう練習をすれば、身に着くのでしょうか。
 これは、科学的に検証したわけではありません。全くの私見です。しかし、70才を過ぎても、いまだに単発的ではありますが、新聞紙を抜いたり、和蝋燭を消すスピードを維持できている、経験からの意見です。 

  1. 原理としては、脳が、と言うより神経細胞が、スピードの記憶を持っていると考えている。
  2. 練習方法として、何度もスピードの記憶を脳(神経細胞)に覚えさせる
  3. この記憶を蓄積するための練習回数は、スピードが出せない状態では決して行わない。遅い記憶で上書きされてしまうように思います。
  4. 例としての練習方法(空手道の型の稽古)
    1. 体力のある内に、自分が出せる思い切ったスピードをだす
    2. バランスを取らない
    3. 緩急を取らない
    4. 極めない
    5. 一度しかしない
    6. 5回する場合は、4回は力を抜いてスムーズに動作をする事を心がける
    7. スムーズに動作する時には、バランス・緩急・極めなどを意識する
  5. 例としての練習方法(ゴムチューブ)
    1. 前にゴムチューブを引っ掛け、これを引いて構える
    2. 突き終わった状態の位置で、ゴムチューブがたわんでいない状態を作り、そこからゴムを引いて引き手をとる。
    3. 突き終わる直前に、ゴムチューブがたわむようにする
    4. 続けて何度もやらない
    5. 速さが出なくなったら、やめる
  6. 坂道の下りで、追い突きをする
  7. 上記の練習方法の目的は、あくまでも脳(神経細胞)に、自分の限界のスピードを覚えさせる事にある事を忘れない
  8. 次の動画は5.のゴムチューブを使った例です。

 以上が経験から言える、自分の限界のスピードを得る方法であると思います。試して見る価値はあると思います。

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