お習字から書道へ Section 24

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 東京書道教育会にある部分、一般的には部首と呼んでいると思いますが、部首と言う呼び方は、間違っていると、『硬筆毛筆書写検定 理論問題のすべて』(江守賢治著)に記述があることを前回の「一口メモ」に書きました。

 したがって、ここでは、漢字の部分に従って、文字を選んで練習したものを載せています。

 前回は、「ひとかんむり(ひとやね)」と「はちがしら」そして「はつがしら」を選び、文字は「今、介、余、舎、企、会」、「八、公、六」そして「発、登」の楷書を、また、「今」「介」「舎」「会」「発」「登」の書写体を書きました。

 今回は、「わかんむり」と「うかんむり」そして「あなかんむり」を選び、文字は、「写、冗」、「安、守、完」、「空、究、窪」を楷書で、「安」「冨」「完」を書写体で書いて見ました。

「写」と「冗」の文字は楷書です。「冨」は書写体で書きました。何れも「わかんむり」と言われているものです。

 三文字とも「わかんむり」は上部に何も無いので、釣り合いが取りにくい文字だと思っています。これは、見慣れないためかもしれません。

 苗字や名前には「冨」と言う字を見ますが、普通は「富」は、「うかんむり」です。

 「安」「守」「完」は、「うかんむり」ですが、「わかんむり」より、上に点がある分バランスがとりやすい感じがしました。

 安定感が出るのか、点によって中心線が出来るのか分かりませんが、一本筋が通った感じです。

 「安」の字は、中の「女」と言う文字が難しく思っています。「好」と言う字はいつも書くのですが、やはり「偏」として書くのとでは違ったバランスのとり方だと思いました。自分が思った線よりも一画目が折れるまでも折れてからも長く書かないと、扁平な字になってしまいます。これも何度も書き直しました。

 「守」は、自分では上手く書けたように思います。全体的には逆三角形をイメージして書いています。

 「完」は、「安」よりも安定させるのに苦労しました。やはり、「うかんむり」の下の空間の使い方が大切だと思っています。「元」の一画目の形は、手本のように通常の横画とは違う書き方をしています。こうする事によって「うかんむり」と下の文字とのバランスが取れると思います。

この「安」「完」は書写体で書いていますが、すこし太めの字を書きました。

 「完」の文字は、行書に近い書き方ですが、「うかんむり」などは、楷書と変わりません。

「あなかんむり」を改めてかいてみますと、ここにあげた三文字とも微妙に違う事が分かりました。

 もちろん、これは、『常用漢字など二千五百字、楷行草総覧』を手本にしていますので、他の文字では同じように書くのかも知れません。

 「究」の文字の「うかんむり」の下にある右の点の書き方と、「窪」の文字では若干違っています。
 「空」の文字では、点の部分が「ヒ」になって収筆は「とめ」ています。

 同じ「あなかんむり」でも、下の文字によって変わるのでしょうか。私には分かりませんが、手本通りに書き写す努力をしました。

 「窪」と言う字は、もう少し枚数を書けば、バランスよくかけるのかも知れませんが、少し違和感をかんじながら載せています。
 

 一口メモ 

 今回も書写体と言う言葉を書きました。ある程度書写体と言う文字の成り立ちは説明できたとおもっていますが、自分でもまだ判然としない気持ちが残っています。

 今回は、「書写体と言うのは、楷書の中での字体をいいます。」(出典:『硬筆毛筆書写検定 理論問題のすべて』)と書かれてあります。とSection 22の一口メモにも書きましたが、その『硬筆毛筆書写検定 理論問題のすべて』に書写体について、江守賢治先生の記述がありますので、紹介したいと思います。

 『A楷書体と活字体(明朝体)
・次の例を見ると、山や田の字はaとbは同じであり、人や入の字は少し違っているが、新聞・雑誌の中で見る限りその違いには気がつきません。

・上の本・異・叔の3字を見てください。cの3字は漢和辞典に載っていますが、dの3字は載っていません。
 この文字(書写体)こそ、昔から永い間ずっと書かれてきた楷書本来の手本とされている「九成宮醴泉銘きゅうせいぐうれいせんめい」や「孟法師碑」などにある字は、ほとんどといってよいほど、この書写体といわれている字でかかれています。
・また、奈良時代から江戸時代までの公文書も写経も神社・仏閣の名前なども、漢字はすべて書写体でかかれていました。
・cの形で書かれるようになったのは、明治になって、漢和辞典のような活字での本が出現してからのことです。・・・・』
【上記引用文は縦書きを横書きにし、abの記号は通し番号としてabcdと変更して書いています。】
 
 書道では、その手本となる書体を古典とし、かつ臨書を練習体系にしているため、書写体とは切っても切れない字体と言う事だと思います。

 

【参考文献】
・青山杉雨・村上三島(1976-1978)『入門毎日書道講座1』毎日書道講座刊行委員会.
・高塚竹堂(1967-1982)『書道三体字典』株式会社野ばら社.
・関根薫園(1998)『はじめての書道楷書』株式会社岩崎芸術社.
・江守賢治(1995-2016)『硬筆毛筆書写検定 理論問題のすべて』株師会社日本習字普及協会.
江守賢治(1981-1990)『常用漢字など二千五百字、楷行草総覧』日本放送出版協会.
・江守賢治(2000)『楷行草筆順・字体字典』株式会社三省堂.

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