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東京書道教育会や書道界では「部分」、一般的には部首と呼んでいると思いますが、その部分に従って、文字を選んで通信教育の課題とは別に練習しています。
前回は、「あさかんむり」「あみがしら」「かみがしら」を取り上げました。文字は、「麿」、「署」そして、「髪」を楷書で、「髪」だけ書写体がありましたので、書写体を添えています。
今回は、「ひらび」「がんだれ」を取り上げました。文字は「書」「最」、「原」「厚」「厘」を楷書で、「書」「最」「原」の文字を書写体で書きました。
「書」と言う文字は、今まで何度も書いていますが、上手く書けたことがありません。私にとっては非常に難しい文字です。
何が難しいかと言いますと、横画が多いので、変化がなく、単調になりがちな文字になってしまいます。
手本にした文字は、全ての横画に僅かづつ変化があり、そして奇を衒うような変化でもありません。手本のとおりには、書けていませんが、それでも、何も見ずに書いた文字とは、一味違う文字が書けました。
「書」には「書写体」がありますが、この程度の違いで、なぜ「楷書」の文字を違えたのでしょうか。
「最」と言う文字も「書」と同じ「ひらび」に属しますが、なぜ、「ひらび」と言うのでしょうか。単に「平たい日」で「ひらび」と言い、意味はないとの解説もあります。
「ひらび」に似た部分の名称に「ひ・ひへん・にち・にちへん」と言うものがあります。
この「ひらび」と言うのは、日の扁平なものを表していますが、扁平でなくても、太陽に関係のない漢字を「ひらび」と呼んでいます。太陽に関係すると言うのは、太陽の光や時間に関係すると言う意味で、「晴」「暑」「昨」「昼」などがありますが、すべて太陽と無関係ではありません。
この文字を書く時のポイントと言って良いのか分かりませんが、私は、今回手本を観察して、文字の下部にある長い縦画が重要だと思って、縦画に注意を払いながら書く事にしました。意外と思うよりも長めに書くとバランスが取れるようです。
またまた、但し書きですが、『常用漢字など二千五百字、楷行草総覧』を手本にした場合と言う事です。
「原」は「がんだれ」が部分の名称ですが、私にとっては非常に調和の取れにくい文字の一つです。
確かに「日」の上の「点」と下の部分の「小」の縦画が基準にする事ができるのですが、中心線にするには、二画目の左払いが気になります。
特に左に払う角度を注意して書かないと、中の部分との調和が取れなくなります。
「原」同様 、左払いの角度がポイントだと思います。少し縦長に書いたのは、手本によりますが、バランスは良く書けたと思っています。自画自賛ですが。
「原」や「厚」と同様に「がんだれ」ですが、書写体を見つける事が出来ませんでした。
自分ではもう少し、「がんだれ」の中の「里」の上の部分が小さい方が良いのか、と思っています。少し手本とは違うものになってしまいました。
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【参考文献】
・青山杉雨・村上三島(1976-1978)『入門毎日書道講座1』毎日書道講座刊行委員会.
・高塚竹堂(1967-1982)『書道三体字典』株式会社野ばら社.
・関根薫園(1998)『はじめての書道楷書』株式会社岩崎芸術社.
・江守賢治(1995-2016)『硬筆毛筆書写検定 理論問題のすべて』株師会社日本習字普及協会.
江守賢治(1981-1990)『常用漢字など二千五百字、楷行草総覧』日本放送出版協会.
・江守賢治(2000)『楷行草筆順・字体字典』株式会社三省堂.