お習字から書道へ Section 43

スポンサーリンク

 今朝は東京書道教育会の次の課題、前に書きましたが、「星河不動天如水風露無聲月満楼」「せいがふどう、てんみずのごとし、ふうろこえなく、つきろうにみつ。」をまだ書き続けています。ついに、半切の紙が無くなりましたので、現在注文中です。

 半切〔34.8×136.3(cm)〕は、結構体力と気力、何より集中力が必要です。

 あまり、努力は好きな方ではないのですが、才能に対抗するには、努力しなければなりません。

 『天才とは、努力する事ができる才能を持っている人』と、【「五輪書」から学ぶ Part-19】に記載しましたが、私が中学の頃に思っていた事です。その努力の原動力になるのが、「惹かれる」と言う事だと思っています。「好きこそものの上手なれ」と同じです。私には「惹かれる」と言う言葉の方がしっくりきます。

 70歳を過ぎてから、物に惹かれると言う事も、随分少なくなりました。だからと言って、「惹かれる」事がなくなったら、あまりにも寂しい老後のような気がしています。ですから、若い頃には「惹かれた」事も、今では「惹かれる」すこしの努力が必要かと、思っています。

 さて、今朝も文字を選んで書く事にします。

 この文字を選ぶときには、『楷行草筆順・字体字典』から、上手く書けそうな文字と、難しそうだな、と思う文字の二種類の文字を選ぶようにしています。

 前回は、「かいへん」「とりへん・ひよみのとり」を取り上げました。
 文字は、「財」「買」「賦」、「酒」「酔」「酸」、を楷書で、「財」「賦」「酒」「酔」「酸」を書写体で書きました。

 今回は、「つきへん」「ふねへん」を取り上げました。
 文字は、「有」「服」「朝」、「船」「艦」、を楷書で、「有」「服」「朝」「船」「艦」を書写体で書きました。
 

「有」と言う文字で気を付けている所は、「右」と言う文字と同じで、二画目の横画だと思っています。

 自分で思うよりも長く書く事で、文字の輪郭をイメージできます。横画の下を逆三角形に見立てて、横画の起筆と、左払いの収筆、そして「月」の一画目の収筆をその逆三角形の左辺に揃えるようにしました。

 書写体も同じようにイメージしましたが、一画目の横画があるので、少し左払いの角度が変わると思います。この文字の方が、安定させやすく感じるのは、一画目の横画の長さと、二画目の位置関係、そして「月」の横画の長さとの釣り合いが取りやすいからだと思います。
 

 
 「服」は、自分では書きにくい文字の一つです。縦画が並ぶからだと思いますが、この文字は上手く書けたと思っています。お手本のお陰です。

 書写体は、あまり上手く書けたとは思えません。良く似た文字でも、少し線の太さを変えると、違ったものになります。これは練習課題です。

 


 「朝」は、同じ部分が上下にある偏のため、ある程度字画と線に変化を持たせて書いています。これは手本を観察しての事ですが、こういう変化を自分で出来るようになるには、相当の練習が必要だと思います。

 書写体の方が、書きやすく思ったのは、偏に変化を付けなくても、初めから違う字画だからだと思います。

 

 
 
 「船」の書写体の旁は「公」なんですね。偏の方は、楷書と同じ「舟」の場合もありますが、今回は、「舟」の一画目がないものを選びました。

 楷書の文字で難しいのは、「口」の大きさです。少し大きく書き過ぎたのか、と思いましたが、お手本では、この程度の大きさと観察しました。ですから、自分の感覚と、上手な人の感覚に隔たりが、まだまだあると言う事です。

 

  

 「艦」と言う文字の出来映えは、可の下位かと思います。良までは届きません。まして優には程遠い感じがしています。理由は分からないのですが、しっくり来ていません。難しい文字ですね。できれば書く事のないようにしたいくらいです。

 

   

 一口メモ 

 前回からの続きで、『はじめての書道楷書』(関根薫園著)で、中国の李淳と言う人の手による「結構八十四法」と言う文字の組み合わせ方を説明していきたいと思います。

 今日は第十七回目です。取り上げるのは、「」「そう」「」「みつ」の4つです。【「痩」は、旧字体で印字されているのでこの文字にしました。】

 「」の例は「山」です。字画が少ないので、ある程度肉太に書くように書かれています。ただし、書かれてある文字は、線に太い細いの変化をつけてあります。

 「そう」も同じように字画の少ない文字「寸」を例にあげていますが、この場合は、肉太に書くと重くなると書かれています。しかし貧弱にならないよう指示があります。書かれてある文字は、縦画はかなり肉太に見えますが、少し書かれてあるないようと合致していません。

 「」この文字も「上」を例にあげて、字画が少ない文字の書き方を説明していますが、表現が筆勢を強くする、とか、淋しくならないように、豊肥な線を心がけるように書かれています。残念ながら私には、よく理解できません。

 「みつ」の説明は理解できそうです。文字は「齋」です。画数の多い文字の場合は、点画を引き締め、文字が大きくならないように気を付けながらも、委縮せずにのびやかに書くようにする。

 

【参考文献】
・青山杉雨・村上三島(1976-1978)『入門毎日書道講座1』毎日書道講座刊行委員会.
・高塚竹堂(1967-1982)『書道三体字典』株式会社野ばら社.
・関根薫園(1998)『はじめての書道楷書』株式会社岩崎芸術社.
・江守賢治(1995-2016)『硬筆毛筆書写検定 理論問題のすべて』株師会社日本習字普及協会.
江守賢治(1981-1990)『常用漢字など二千五百字、楷行草総覧』日本放送出版協会.
・江守賢治(2000)『楷行草筆順・字体字典』株式会社三省堂.

スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です