文武両道のために・・・・『徒然草』を読んで見る。【69】

 今日の文字は『大根』です。今日読んで見ようと思う、『徒然草 第六十八段』を読んで見て、感じた文字です。

原文 現代文を見る 大根

 
 「晩節を汚す」と言う言葉があります。「立つ鳥跡を濁さず」と言う言葉も聞きます。

 私は還暦を過ぎた頃から、この「晩節を汚す」事の無いように常に心に刻んで来ました。

 まだ先かも知れないし、今日かも知れません。人は必ず終焉を迎えます。

 別に惜しまれて去りたいとも思いませんが、折角生きて来た人生を自ら汚したくはありません。

 貴乃花親方は、自分の言動が「立つ鳥跡を濁さず」と言う言葉にもとる行為だとは思わないのでしょうか。

 貴乃花親方の言う相撲道は、私が常々言っている空手道とは違うのでしょうか。格闘と言うものに、礼儀が伴わなければ、ただの暴力です。人間である限り、この兼ね合いを考えないと、それこそ畜生道になってしまいます。

 礼儀と言うのは、四文字熟語を重ねてもなんの役にも立ちません。日ごろの立ち振る舞いにこそ、礼儀が必要だと思っています。

 強ければ良いと言う発想は、土俵を降りた時点で、過去の物にしておくべきだと思います。そして、過去の栄光にしがみ付かないで、過去の栄光に光を当ててほしいと思います。

 芝田山広報部長(元第62代横綱大乃国)が、激怒していると(デイリースポーツ/神戸新聞社2018/09/28)言われていますが、全くその通りで、提出する書類(千賀ノ浦親方の署名、押印が入った書類)がコピーで、貴乃花親方の印鑑も黒くぼやけていると、書かれてあります。何とも非礼極まりない事を、最後の最後にしたものだと、残念でなりません。

 貴乃花親方もそうですが、これを代理人として持参した弁護士も、いや弁護士なら原本を差し出す事は、基本中の基本と知っているはずです。もし、これが知っていてそのような事をしたのであれば、相手に喧嘩を売っている行為と取られても仕方ありません。

 原本を渡さなくても良いと思っている、弁護士であれば、即刻弁護士などと言う、契約のプロを止めた方が良いと思います。

 仮に貴乃花親方がコピーを渡したとしても、注意をして訂正させるのが、弁護士の役目だと思います。

 なんだか、一連の貴乃花親方の行動を見ていると、幾ら人の言う事を聞かないと言っても、ここまで来ると、一本気などと言う言葉で取り繕ってはいけないと思います。

 これからでも遅くないと思いますので、社会に適合できるような勉強を、お兄ちゃん(花田 虎上元第66代横綱・若乃花)のようにした方が良いと思います。これは、お節介、老婆心です。
 
 今日は大阪は天気が良さそうです。今は快晴で小春日和になりそうです。今日も一日元気で過ごしましょう。

 
徒然草 第六十八段 〔原文〕

 筑紫に、なにがしの押領使おうりょうしなどいふやうなる者のありけるが、土大根つちおおねを萬にいみじき藥とて、朝ごとに二つづゝ燒きて食ひける事、年久しくなりぬ。ある時、たちのうちに人もなかりけるひまをはかりて、敵襲ひ來りて圍み攻めけるに、館の内につわもの二人出で来て、命を惜しまず戰ひて、皆追ひ返してけり。いと不思議に覚えて、「日頃こゝにものし給ふとも見ぬ人々の、かく戰ひしたまふは、いかなる人ぞ」と問ひければ、「年來としごろたのみて、朝な朝な召しつる土大根らにそうろう」といひて失せにけり。

 深く信を致しぬれば、かゝる徳もありけるにこそ。

 

 

『現代文』

 まず、我流で現代文にしてみましょう。

 『筑紫(現在の福岡県の一部)に、なんとか言う押領使おうりょうしがいたが、大根を万病に効く薬と言って、毎朝二切れづつ焼いて永年食べ続けた。

 ある時、館に他に誰もいない隙に敵が襲い囲んだが、兵が二人現れ、命を懸けて戦い、皆追い出した。不思議に思って、「見かけない人たちが、こんなに戦ってくれるのは、どうしたことですか」と訊ねてみると、「永年信じて、毎朝食べて頂いた大根です」と言って消えた。

 深く信じれば、このような徳もあるのだろう。 』
【参照】
押領使おうりょうし:平安時代の官名。地方の暴徒の鎮圧、盗賊の逮捕などにあたった。初め、令外りようげの官として国司・郡司・土豪などから臨時に任命したが、天暦(947~957)の頃から常置の官となった。

 

 

『大根』

 大根の恩返し、と言う事ですか。鶴の恩返しは、聞き覚えがありますが、大根は初めてです。

 ちょっと、「焼大根」に引っかかったので、調べて見ました。

「そこ?」、まぁまぁまぁ。

 焼く、と言うのは、今はフライパンでも焼くと言いますが、私などは、焼くと言うと、炭火の上に網を乗せて焼く事を想像します。

 きっと、兼好法師の時代でも、炭火焼きが普通だと想像します。今は、レシピを見ますと、フライパンにバターや塩で味付けをして焼くようになっていますから、なんだか、美味しそうに思います。

 それでも、炭火で焼いた大根も、塩などを振れば食べられるのかも知れません。

 永年、と書いてありますが、これには引っかかりません。私もこの何年か、朝はサツマイモを焼いて食べています。ただ焼くだけで、味付けはしていません。焼き芋ですから。

 お陰で永年困っていた腸の調子がいたって良くなりました。

 ただ、サツマイモに恩返しをされた事はありません。しかし、6月のサツマイモには裏切られたと思っています。6月のサツマイモは不味いと、すりこまれたようです。来年不味かったら、何か方法を考えなければなりません。

〔恩〕

 「深く信を致しぬれば、かゝる徳もありけるにこそ。」と原文にはありますが、時代が違うからと言って、この類の話は、童話か神話なら解りますが、現実にあるとは思えません。

 信じる事で、徳が出来るとも思えません。それより、大根がその薬としての効能を、深く、そして永く信じられた事に対する、お礼の意味だと思います。

 ただ、相手が大根ですから、現実にはお礼の言葉もありません。

 しかし、これが大根ではなく人間であれば、人の恩をいつまでも忘れずに、ご恩に報いると言う事は、現在でもあると思います。

 それでも、「衣食足りて礼節を知る」と言う通り、「ない袖は振れぬ」と言う事もあります。しかし、気持ちだけでも人から受けた恩は、忘れない方が自分の為になると思います。と、不甲斐ない自分自身に、言い訳をしています。

 「因果応報」とは言いませんが、世の中が何でも自分さえ良ければ良い時代になったとしても、人間として忘れてはいけない事があると思っています。

 私は人間関係と言うのは、その関係の在り方にあると思っています。

 道場では、目上の者、あるいは上級者が、下の者の面倒を見る事を、当たり前のように習慣づけています。

 これは、道場を始めた頃からの私の考えです。例えば合宿に行ったときに、私の荷物を持つ事より、下の者、小さい子供の荷物を上の者が持つように指導してきました。

 これには、理由があります。人の面倒を見れるようになる事が、自分が成長した証だからです。

 では、面倒を見てもらった人はどうでしょう。このままだと、面倒を見てくれるのは当たり前になって、感謝の心も生まれません。

 ですから、自分が早く面倒を見れる側にならなければなりません。いつまでも人の世話になっているとしたら、結局はいつまで経っても自分は、成長する事ができません。

 では、その面倒を見られている時は、どうすればよいのでしょうか。まず、子供であれば、感謝すべきです。恩を感じる心を養う必要があります。大人であれば、感謝するのは当然ですが、加えて恐縮する気持ちを持つ事が大切です。

 こういった、相互関係が、人間関係を作って行くと思います。また、そうあって欲しいと思います。

〔逆〕

 この段の話、何か違和感を感じます。大根の兵は、さておいても、恩を感じないといけないのは、大根の方だとは思えません。

 押領使おうりょうしは、この大根の効能を信じて永年食べているのですから、恩を感じて感謝すべきは、押領使の方ではないですかね。

 私はサツマイモに対して、とても感謝しています

 永年腸が弱く、すぐにお腹を壊していました。それも短い期間ではありません。物心ついてからずっとですから、少なくとも60年は苦しめられていました。

 世間で良いと言われた物は、何でも試して見ました。ビフィズス菌が良いと言うので、プレーンヨーグルトの400gの大きいのを毎日一つ食べていた事もありました。ビオフェルミンも毎日飲んでいた事もあります。それでも、正露丸が必要な時がほとんどでした。

 原因は、ストレスもあるとは思います。会社を辞めてから、サツマイモのお世話になっていますから、どちらが有効なのかは分かりません、学生時代も勉強嫌いでストレスを感じていたのかも知れませんから。

 それでも、今は随分、腸は快調です。サツマイモ様様です。

 ここに登場する、大根には、

  • アミラーゼ(ジアスターゼ) デンプンを分解し胃もたれや胸焼けに効果があると言われている。
  • オキシダーゼ 消化促進をしてくれる酵素のひとつと言われている。発がん性物質の解毒作用があり、がん予防が期待できるとされている。
  • イソチオシアネート 辛味成分であり、体内の血液をサラサラにしてくれると言われている。
  • カリウム 疲労回復や利尿作用があり高血圧の予防に役立つと言われている。
  • カルシウム・マグネシウム・リン 歯や骨を形成する必須ミネラル成分と言われている。
  • ビタミンB1・B2 脳や神経の正常な働きをサポートすると言われるB1。脂質をエネルギーに変えるのに必須成分とされているB2は、細胞の生まれ変わりをサポートして爪や髪の毛、皮膚の成長促進をすると言われている。
  • ナイアシン ビタミンB群に属し、皮膚や粘膜を健やかに保つサポートや血流を良くする効果が期待できるようだ。また、脳神経が正常に作用するよう働きかけてくれると言われている。
  • パントテン酸 疲労回復や動脈硬化、心筋梗塞の予防に効果があると言われている。
  • 葉酸 赤血球を作り出し正常に作用させる働きや貧血の予防効果があると言われている。
  • ビタミンC 活性酸素の発生や酸化力を抑え動脈硬化、皮膚や血管の老化の予防や免疫力を高める作用があると言われている。
    (出典:https://www.olive-hitomawashi.com/column/2016/12/post-3.html)
    と、こんなに栄養素があるといいます。

 兼好法師の時代には、科学的な根拠は分からなかったものの、経験で色々なものに効果があると言う事で、薬として用いられていたとも聞きます。

 であれば、尚更の事、大根に感謝すべきと思います。

〔信じる〕

 前にも書きましたが、「鰯の頭も信心から」と言う言葉は、あまり良い意味では使われませんが、この言葉の由来は、信心の尊さを表わしたものだそうです。

 ですから、大根の効能を云々するのではなく、大根を頭から信じているとしたら、「焼大根も信心から」となると思います。

 であれば、信仰心は不思議な力を持つと言う事ですから、大根の兵が出てきて、身に降りかかった災難を救ってくれるかも知れません。

 なにしろ、平安時代には陰陽師が神格化していたのですから、今考えると不思議な事が実際にあったのかも知れません。

 現に、今でも風水や家相、人相、手相などの占いなど、人に信じられていますので、科学的な根拠がないからと、一刀両断してしまう事も出来ないのかも知れません。

 同じように神社で低頭して祈祷を受けるのも、二礼二拍手して一礼する事も、科学的な根拠に基づくものではない事は、承知の上での儀式だと思います。

 しかし、残念ながら、私の場合は、そこまで大根を信じる事はできません。信仰心が無いので、やっぱり徳が無いのでしょうか。