「五輪書」から学ぶ Part-57
【火之巻】かげをうごかすと云事

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 【五輪書から】何を学ぶか?  

 ひょうひょうとして、何を考えているのか、掴みどころのない人っていますよね。競技空手の世界でも、チャンピオンになる人は、私から見ると、そんな感じに見えます。

 何事でも「過ぎたるは及ばざるが如し」と言いますから、気が入り過ぎても、入らなくてもだめだと思います。

 空手やスポーツの世界は兎も角、近頃の犯罪者を見ると、とても犯罪を犯すように見えない人が犯人として捕まってます。
 そんな人に限って、捕まる前にテレビで、いけしゃあしゃあと、ウソをついています。こんなに、うまく嘘をつかれたら、私だったら直ぐに騙されてしまうと思います。

 世の中は、実に悪い事をする人が多いですね。まぁ、ニュースになるのを見ているからで、人口の割合からすれば、一握りなんでしょうが、困ったものです。

 コンピュータの世界でも、何のためにウイルスなんか作るのか、チンプンカンプンです。もう、鼬ごっこです。

 少なくとも、世の中の上に立つ人は、善人であってほしいと願います。
 

【火之巻】の構成

1. 火之巻 序
2. 場の次第と云事
3. 三つの先と云事
4. 枕をおさゆると云事
5. 渡を越すと云事
6. 景氣を知ると云事
7. けんをふむと云事
8. くづれを知ると云事
9. 敵になると云事
10. 四手をはなすと云事
11. かげをうごかすと云事
12. 影を抑ゆると云事
13. うつらかすと云事
14. むかづかすると云事
15. おびやかすと云事    
16. まぶるゝと云事
17. かどにさはると云事
18. うろめかすと云事
19. 三つの聲と云事
20. まぎると云事
21. ひしぐと云事
22. 山海の變りと云事
23. 底をぬくと云事
24. あらたになると云事
25. 鼠頭午首と云事
26. 将卒をしると云事
27. 束をはなすと云事
28. いはをの身と云事
29. 火之巻 後書
  
『原文』
11.  かげをうごかすと云事 (原文は、播磨武蔵研究会の宮本武蔵研究プロジェクト・サイト「宮本武蔵」http://www.geocities.jp/themusasi2g/gorin/g00.htmlを引用した)
かげをうごかすと云ハ、敵の心のミへわかぬ時の事也。大分の兵法にしても、何とも敵の位の見わけざる時ハ、我方より強くしかくる様にみせて、敵の手だてを見るもの也。手だてを見てハ、各別の利にて勝事、やすき所也。又、一分の兵法にしても、敵うしろに太刀を搆、脇に搆たる様なるときハ、ふつとうたんとすれバ、敵思ふ心を太刀にあらはすもの也。あらはれしるゝにおゐてハ、其まゝ利をうけて、たしかにかちをしるべきもの也。油断すれバ、拍子ぬくるもの也。能々吟味有べし。(1) 
【リンク】(1)は【註解】として、播磨武蔵研究会の宮本武蔵研究プロジェクト・サイト「宮本武蔵」にリンクされています。

 『現代文として要約』

 11.  かげをうごかすと云事

 かげを動かすと言うのは、敵の心の動きが読めない時の事である。合戦では、どうしても敵の情勢がわからない時は、我方から、強く仕掛けるように見せて、敵の手立てを見る。手立てが見えれば、違う勝つ方法を考える事ができ、勝つ事は易しい。
 又、一対一の戦いでも、敵が後ろに太刀を構えたり、脇に構えたりしている時は、急に打とうとすれば、敵の心は太刀に現れるものである。現れて知る事が出来き、勝つ方法を考えれば、確かに勝てると思うことである。しかし、油断していると、勝てる拍子がぬけてしまう。よく熟慮すること。

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 『私見』

 これも、スポーツ全般、武道においては尚更であると思います。「かげ」と言う言葉が、現代人には馴染みがなく、含蓄のある言葉のように錯覚してしまうのは、私の浅学のためかも知れません。

 よく意味合いを考えると、フェイントを掛けて、相手が何を考えてるかを知りなさい。と、言っているのだと思います。
 フェイントと言うと、相手の出方を知るだけではなく、相手を惑わせる事が多いと思いますが、武蔵が言う、相手の手の内を知る事の方が、実戦的であると思います。

 ボクシングなどの場合は、相手の出方を知る事より、相手を惑わせて、防御の隙を作り、攻撃することの方が多いですね。

 左の写真は、自由組手の一コマで、私が左の手で上段突き(フェイント)をして、相手の出方を窺った一瞬です。(相手は礒田師範です) 

 相撲の立ち合いの場合は、一度待ったをして、相手の出方を見る力士をよく見かけます。その時の両者の心境を考えると、結構見ごたえがあります。
 この事は、武蔵が言う「かげ」を動かしたのではないでしょうか。もちろん、相撲もルールがありますから、目に余ると、審判に叱られる事になりますが。それでも力士は、給金が懸かってますから、負けるわけには行きませんね。

 【参考文献】 
・神子 侃(1963-1977) 『五輪書』徳間書店.
・佐藤正英(2009-2011)  『五輪書』ちくま学芸文庫.

   【参考サイト】
・播磨武蔵研究会の宮本武蔵研究プロジェクト・サイト「宮本武蔵」http://www.geocities.jp/themusasi2g/gorin/g00.html


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