今回は横画から縦画に方向を変える「折れ」について、書き方のポイントを書いて見ました。
この「折れ」も書籍によって呼称が違います。これも前回同様、楷書を念頭に置いていますので、行書や草書の筆使いではありません。
「月」の字を書いて見ました。赤丸に示した部分が、「折れ」です。横画と縦画の交わりと言えます。
このトレースした枠書きの、元の文字は、日本でも相当に有名な書家の文字です。私が書いた文字とは、趣が違います。
私が書いた文字は、東京書道教育会の手本を書写したものです。
ここでは、どちらが好みと言う問題では無く、「折れ」の違いを観察してもらえれば良いと思っています。
他にも有名な書家の「折れ」がありますし、同じ人の文字でも、文字によって、点画の場所によって違いがありますから、色々な文字を観察して、自分の好みに合った「折れ」を再現してみる事も稽古になります。
特に古典と呼ばれる文字には、それぞれ特徴のある「折れ」がありますので、臨書をする場合に、点画の形に拘って見るのも良いかと思います。
この形に拘って臨書する事を、「形臨」と言います。「形臨」の場合は点画はもちろんですが、文字そのものの形をそっくり真似るようにします。
また、書かれた人の意を汲み取って書く臨書もあります。「意臨」と呼ぶそうです。
【参考文献】
・青山杉雨・村上三島(1976-1978)『入門毎日書道講座1』毎日書道講座刊行委員会.
・高塚竹堂(1967-1982)『書道三体字典』株式会社野ばら社.
・関根薫園(1998)『はじめての書道楷書』株式会社岩崎芸術社.
・江守賢治(1995-2016)『硬筆毛筆書写検定 理論問題のすべて』株師会社日本習字普及協会.