中学校で習う漢字三体字典 Part137

 中学校の三年間で習う、1110文字の内の5つの漢字を書いています。漢字は2020年度施行の学習指導要領に対応しています。

 表示は左端が対象漢字、続いてカタカナは音読み、平仮名は訓読み、画数、部首の順です。そして、ことわざ・故事・文章などから一つを選んでその漢字の使われ方を示す事にしました。

 ちなみに、文部科学省では学年ごとに習う漢字は、1学年250字程度から300字程度、2学年300字程度から350字程度、3学年では、その他の常用漢字(小学校で習う漢字1026文字以外の常用漢字1110文字の大体)と学年ごとに決まっていないようです。

681. [][チ][画数:16画][部首:糸]

『精妙巧

 私が学校を出て初めてついた職業は、時計屋です。父の経営する時計店に勤めました。
 販売は、時計、めがね、宝石などが主ですが、時計の修理が一日の大半を占めていました。
 初めは国産の時計を分解して掃除していましたが、ある程度技術が上がって来ると、スイス製の時計を分解しました。特にオメガやロレックス、ロンジンなどは、この言葉がピッタリの精妙巧緻であったと記憶しています。
 今では国産の時計も良くなりましたので、随分洗練されたと思いますが、ただ時を刻むだけの機械とは思えない美しさだったと思います。
 刀の拵えも同じように感じるのは私だけなのでしょうか。

楷書 行書 草書

682. [][チク][画数:10画][部首:田]

『人無害』

 こんな評価を受けた事があります。辞書の内容は良い言葉のようですが、あまり男性としては褒め言葉でもないようです。
 だからと言って、人畜有害よりはましかな、と思います。別に女性に興味がないわけでは無いのですが、そんな風に見えるのかも知れません。
 最近聞いたのですが、認知症になると、見境なく女性を追いかける老人もいるとか、そんな風にはなりたくありません。

楷書 行書 草書

683. [][チク][画数:10画][部首:辵]

夸父かほちくじつ

 どう評価すれば良いのか、迷ってしまいます。
 「自身の能力を弁えていない行動のこと。または、自然に正面から向かっていく、強い意志を言い表す言葉。
 中国の伝説上の夸父かほは、能力を弁えずに太陽に追いつこうとして追いかけたが、喉の渇きから黄河と渭水の水を飲み干しても足りず、大沢の水を飲もうとしたが、道中で喉の渇きが原因で死んだという伝説から。」【出典:四字熟語辞典ONLINE.】、この夸父かほは、夸父こほとも読みます。中国神話に登場する巨人族で、二匹の蛇を耳飾りにし、二匹の蛇を手に持っていたとされています。
 とりあえず、伝説のようなので、そんな話が伝わったとしておきましょう。
 なんだか、小説にあるドン・キホーテを彷彿とさせますが、実際にもそんな人はいるかも知れません。
 結構この「わきまえる」事が難しいのが人間だと思っています。プライドがそうさせるのか、それとも自分が見えていないのか、あるいは勘違いなのか、傍から見るとあまり賢くは見えません。蛮勇を奮う人もその類に入るのでしょう。
 もう少し若い頃に「分を知る」ことが腑に落ちれば良かったと、今更ながら思います。

楷書 行書 草書

684. [][チク][たくわ-える][画数:13画][部首:艸]

『備荒貯

 これは農業を営む人が経験上、不作の年を見越して備蓄する事がこの言葉を生んだのでしょう。
 昔どこかで聞いたのですが、お百姓さんは、もう年貢を納める事もできない、と言っても自分たちの食べる分は隠してある、そんな意味でした。
 その時には、卑怯者として聞いたと思います。しかし、これは賢い生活の知恵ではないのでしょうか。決して卑怯でもないと思います。
 だからと言って、国民が国を支えるために集めている税金を、ごまかして脱税しているのとは意味が違います。
 米倉涼子さんに「脱税するやつは、日本の道路を歩くな!」と言われますよ。これ、米倉涼子さん主演の人気ドラマ『ナサケの女』の名セリフです。

楷書 行書 草書

685. [][チツ][画数:10画][部首:禾]

『東亜新序』

 昭和13年(1938年)11月3日及び同年12月22日に、時の内閣総理大臣近衛文麿(第1次近衛内閣)が発表した声明。【出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』】と書かれていました。
 大日本帝国・満州国・中華民国3カ国の連帯による共同防共の達成がその目的と言われていますが、果たして本当の所はどんな考えだったのでしょう。

 今でもあらゆる事に、日本は何位と言う事に拘っているようですが、目標を掲げて努力するのは結構な事だと思います。しかし、順位至上主義に陥らないようにしないと、結局また争いの種が育ってしまうような気がします。

楷書 行書 草書
覚 書

 現在中学生編として、2020年度施行の学習指導要領に対応した漢字を、楷書・行書・草書と三体の文字を毛筆で書いていますが、初めに部首と書いていますが、通常呼ばれている読み方ではないと思われたと思います。

 そこで、一般ではどんな読み方をされているのか一覧にしてみました。

 今回は、中学校三年間で習う文字の681.~685.の部首を取り上げていますが、日本では部首の正式な名称は決まってないようです。辞書によって統一されていないのが現状です。

部首 部首名称 (読み方) 部首通称

  1. 【緻】糸部(べきぶ)・いと・いとへん
  2. 【畜】田部(でんぶ)・た・たへん
  3. 【逐】辵部(ちゃくぶ)・しんにょう・しんにゅう
  4. 【蓄】艸部(そうぶ)・くさ・くさかんむり・そうこう
  5. 【秩】禾部(かぶ)・いね・いねへん・のぎ・のぎへん

 ・・・・つづく。