中学校で習う漢字三体字典 Part138

 中学校の三年間で習う、1110文字の内の5つの漢字を書いています。漢字は2020年度施行の学習指導要領に対応しています。

 表示は左端が対象漢字、続いてカタカナは音読み、平仮名は訓読み、画数、部首の順です。そして、ことわざ・故事・文章などから一つを選んでその漢字の使われ方を示す事にしました。

 ちなみに、文部科学省では学年ごとに習う漢字は、1学年250字程度から300字程度、2学年300字程度から350字程度、3学年では、その他の常用漢字(小学校で習う漢字1026文字以外の常用漢字1110文字の大体)と学年ごとに決まっていないようです。

686. [][チツ][画数:11画][部首:穴]

素循環』

 循環と言えば食物連鎖が思い浮かびますが、その食物連鎖に深く関わりのあるのが、窒素循環です。
 大雑把に言えば、空気中にある窒素原子が、その様子を変えながら元に戻ると言う事です。
 「窒素が自然界において、細菌・植物・動物の物質代謝によって、大気中の分子状窒素から硝酸・アンモニアなどの無機化合物、タンパク質などの有機化合物へと変遷し、再び遊離の窒素にもどって無生物界と生物界をめぐっている現象。」【出典:大辞林第三版 三省堂.】。
 また、Seneca 21stと言う地球を考えるホームページには、
農学博士の大串和紀氏が「地球上の窒素は、元素単位ではその量は一定(有限)で、基本的には地球というひとつの閉じられた「系」の中で循環することによって生物に利用されている。しかし、大気中の窒素ガス(N2)から工業的にアンモニアが作られ、また生物由来の化石燃料である石油や石炭が大量に用いられるようになり、自然の循環バランスが崩れてきている。」と書かれています。
 だとしたら、その他に人間が生み出す物が数多くありますので、そのバランスの崩れ方は尋常ではないと推測できます。

楷書 行書 草書

687. [][チャク][画数:14画][部首:女]

滴水てきすいてきとう

 この言葉は、「滴水」はしたたる水、そして「嫡凍」は、直ぐに凍る。ですから一瞬も油断できないですね。
 そんな極限の気持ちを持ち続けて、禅の修行をすると言う事です。
 と言うのはこの四字熟語の意味ですが、何も禅の修行だけに限らず、期間を限定してそんな時期があった方が良いと思います。この場合は「極限の気持ちを持ち続けて」と書きましたが、人間はそんなに長い間持続することは出来ません。ですから、ある一定の期間と書きました。
 ただ、集中する時にはこのように自分を追い込む方が、気持ちが弛まずに良いと思います。
 どんな時にも、メリハリは大切だと思うのですが。

楷書 行書 草書

688. [][チュウ][画数:8画][部首:手]

黄対白ちゅうこうたいはく

 「美しい文章を創作すること。」【出典:四字熟語辞典ONLINE.】らしいです。
 普通の文章には使わないのですかね。「四六駢儷文しろくべんれいぶんの創作についていう言葉」と書いてあります。
 その四六駢儷文しろくべんれいぶんも、初めて見る言葉です。
 「漢文の文体。四字と六字から成る対句を多用する華麗な文体。誇大で華美な文辞を用い、典故のある語句を繁用し、平仄ひようそくを合わせて音調を整えるのが特徴で、朗誦に適する。漢・の時代に起こり、南北朝時代に盛んに行われ、中唐の韓愈かんゆ・柳宗元が古文の復興を提唱してから衰えた。日本では奈良・平安時代の漢文によく用いられた。」【出典:大辞林第三版 三省堂.】。
 そんな文体があったことだけ覚えて置く事にします。

楷書 行書 草書

689. [][チュウ][画数:10画][部首:衣]

斟酌折しんしゃくせっちゅう

 漢字を見ると、想像は出来そうです。「斟酌」も「折衷」も全く知らない言葉ではありません。
 ですから、相手の事情や気持ちを考えて、自分の考えとどちらも納得するように折り合いを付ける事だと思います。
 もちろんこれは対象が自分ではなく、双方の、と言う時もあるとは思います。この場合は自分は間に入って、仲介役と言うか、立会人の役割を果たす事になりますが。
 出来れば、ウインウインの関係で決着がつけば良いですね。

楷書 行書 草書

690. [][チュウ][画数:10画][部首:酉]

藷焼いもじょうちゅう

 こんな漢字を書く時もあるんですね。普通は芋焼酎と書くと思います。
 薩摩芋を原料にした焼酎だそうです。仕事の関係で、昔はよく飲みに行く事が多かったのですが、この芋焼酎を飲む人が結構いました。
 この焼酎を好きでない人だと思うのですが、
一度、芋焼酎は臭い、と言われたことがあってから、飲む気もなくなりました。
 何も臭い酒を飲む必要もないかと。
 でも世の中には臭い物が好きな人もいます。例えば「くさや」とか「鮒鮓ふなずし」は好きな人に取っては美味しい食べ物のようです。

楷書 行書 草書
覚 書

 現在中学生編として、2020年度施行の学習指導要領に対応した漢字を、楷書・行書・草書と三体の文字を毛筆で書いていますが、初めに部首と書いていますが、通常呼ばれている読み方ではないと思われたと思います。

 そこで、一般ではどんな読み方をされているのか一覧にしてみました。

 今回は、中学校三年間で習う文字の686.~690.の部首を取り上げていますが、日本では部首の正式な名称は決まってないようです。辞書によって統一されていないのが現状です。

部首 部首名称 (読み方) 部首通称

  1. 【窒】穴部(けつぶ)・あな・あなかんむり
  2. 【嫡】女部(じょぶ)・おんな・おんなへん
  3. 【抽】手部(しゅぶ)・て・てへん
  4. 【衷】衣部(いぶ)・ころも・ころもへん
  5. 【酎】酉部(ゆうぶ)・とりへん・ひよみのとり・さけのとり・とり

 ・・・・つづく。